ピープルツリーのオーガニックコットンをつくっているのは「アグロセル」という団体です。



ピープルツリーのオーガニックコットンをつくっているのは「アグロセル」という団体です。
この写真に写っているのは、グジャラート州ラッパのコットン農家の方たち。
1,000世帯あまりの家族がフェアトレードの支援を受けており、672世帯がオーガニック認証を取得しています。
ピープルツリーではオーガニック栽培やフェアトレードで取引することで
品物とは別に割増金を支払っているのですが、
2009~2010年にこの地域の農家に支払われた割増金は、
オーガニックで2万ポンド(約245万円)とフェアトレードで6万7,000ポンド(約820万円)でした。
この割増金が、コミュニティに大きな違いをもたらします。
ラッパでは、地元の人たち約1,600人の飲料水、生活用水の唯一の水源である貯水池の修復に使われました。



フェアトレードとオーガニックコットンがもたらす変化


以前のインドのコットン農家たち

インドは何百年も農業を支えにしてきました。ほとんどの職業は農業に関わるものです。

インドでは1960年代に大飢饉が起こり、それがきっかけとなって農産物の増産を目的に、農薬や化学肥料を使った近代農法がもたらされました。「緑の革命」と呼ばれる農業改革です。
コットン栽培でも伝統的に行われてきた有機栽培が衰退し、さらに先進国の進出により農薬が簡単に手に入るようになったことが拍車をかけ、ほとんどの農家が近代農法に転換しました。
しかし、農村では教育を十分に受けられず読み書きができない農民が多く、また農薬使用についての適切な指導を受けていないために、危険性を理解せずに無防備なままで農薬を用いたり、適正量の何倍もの薬品を散布することも。農民自身の健康被害と土壌汚染が大きな問題となり、いまも苦しむ人が数えきれないほど存在します。

土地は化学薬品によって疲弊し、農薬や化学肥料なしでは栽培できなくなってしまいます。先進国の多国籍企業は特定の農薬に耐性をもつ遺伝子組み換え種子を開発し広めています。そして、農家の人びとは毎年新たに種子を購入しなければならないという、より高コストな生産体制に組み込まれてしまうのです。農薬や化学肥料の使用はますます増え、負の連鎖は今もとどまりません。

アグロセルが活動を始める前は、小規模な農家はそれぞれが孤立した状態でした。砂糖のような日常的な食品を買いに行くことでさえ1日がかりのうえ、コットンを市場で販売しても安価でしか売れず、立場も弱くなる一方でした。

インド農業の近代化は、結果的に農家の人たちに持続可能でない手段をもたらしたのです。世界に原綿を供給している農家に西側諸国は指示を出し続けていますが、その計画が失敗して予想通りに機能しなかったとき、苦しむのは農家と地域の人びとなのです。


現在のアグロセルの農家たち

アグロセルは、1989年に設立されたコットンの小規模農家を支援する組織で、インド北西部グジャラート州に本拠地があります。グジャラート州からインド南部にかけて21のサービスセンターを運営、150人あまりの農業専門家であるスタッフが45,000人の農民をサポート。コットン栽培に携わる人びとと、それに付随する産業に関わるすべての人びとの生活とコミュニティの改善を目指して活動しています。アグロセルの主な活動は、オーガニック農法やコットン栽培、輪作の普及 ・促進です。

アグロセルに加盟している農家の95%は機械をほとんど使わず、手作業で耕作、収穫している小規模農家です。
各工程にたくさんの人手が必要なので、雇用を生み出し、さらにフェアトレードの割増金が一般的なコットンの価格に約20%プラスされます。
フェアトレード割増金は、小学校の支援や生産者の生活の質を向上するために使われています。フェアトレードの割増金と合わせて一般のコットンの価格に最大30%を付加した金額でコットンを売ります。これは人口の64%が農業に従事しているインドでは大きな意味があります。

オーガニック農法では、堆肥をつくるのに2日、さらに牛で畑を耕すには、1エーカー(約4,047m2)あたり2日から2日半かかります。

今、仕事を求めて都会に出た人びとが、再び故郷のグジャラートに戻ってきています。
政府が村の電気や道路、通信設備、そして細流灌漑を整えたからです。インフラの改善が、農民たちに村に戻って仕事をする気を起こさせたのです。

インドの文化は欧米と違い、考え方も異なります。大人数の家族がともに村で暮らしていることが、コミュニティの絆を深め、何世代も続いていく関係を大切にします。物質的なものではなく、人間関係が大事なのです。フェアトレードでオーガニックコットンを扱うことは、彼らが理想としている暮らしを支えることにつながります。




アグロセル農家での
オーガニックコットンのつくり方


オーガニックコットンの厳しい基準をクリアしたアグロセル

ピープルツリーとアグロセルは1995年から取引を始め、2007年にはオーガニック認証機関「ソイル・アソシエーション」の認証、2012年にはGOTS認証を取得しています。
途上国で生産されたフェアトレードのオーガニックコットン製品がこれらの認証を得るのは、世界でピープルツリーとそのパートナーが初めてのことです。


一般的なコットン農法

近代農法でのコットン栽培では、防虫剤、防腐剤を使って保管した一代限りの種を種まきの時期に毎回購入し、化学肥料を投入した農地にまきます。
栽培中は除草剤と殺虫剤を散布して雑草と害虫を駆除し、収穫前に枯れ葉剤で葉を枯落させ、機械で一気に収穫します。


自家採取した種を使い、自然を利用したオーガニックコットンづくり

まず、栄養たっぷりの土づくりのために、牛糞を使った堆肥を2日かけてつくります。
畑を耕すのは牛の仕事です。

そして、種まき。
アグロセルで栽培するのは「ディヴィラジ」という固定種です。
オーガニック農法でもメーカーから種子を購入するケースもありますが、アグロセルでは種子を外部から購入することなく自家採種しています。つまり、作物から採取し、また育てるという自然のサイクルを繰り返しているのです。そのため、ほとんどの農家は毎年種子を購入する経費がかかりません。
また、種子を持たない農家には、一般の1/10ほどの価格で販売しています。

水やりは細流灌漑という方法で、コットンの株の根元に穴のあいたパイプをめぐらせ、そこからポタポタと水を垂らします。従来に比べて60%もの水を節約しながら、栽培に必要な量を与えることができます。水不足のインドでは画期的な方法として注目を集めています。

コットンの実ができたら水を断ち、葉が枯れ、霜の重さによって葉が落ちるのを待つのです。枯葉剤は一切使いません。
そして、機械をほとんど使わずにコットンボールを手摘みして収穫。結実に合わせてひとつずつ手で摘んでいくのです。
コットンの実の一番良い状態を見極められるよう、収穫のためのトレーニングを重視し、品質のさらなる向上に努めています。


オーガニック農法での害虫の防ぎ方

殺虫剤として使われるのは天然の虫除けといわれる植物ニームです。農地の一部にニームの木が植えてあり、この葉とオイルを発酵バターミルク、牛尿、水と混ぜ合わせて天然の殺虫剤をつくります。
サボテンの樹液はシロアリ駆除に使います。サボテンを細かく切って樹液と混ぜ、あふれるようにアリ塚に注いでシロアリを殺すのです。
害虫の天敵である益虫を農地に放すこともあります。



オーガニックコットンが生まれる場所

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