- ピープルツリー
- フェアトレード、さらにオーガニック
ピープルツリーのブランドロゴがついている商品は、100%フェアトレード製品です。
ひとつのアイテムのオーガニックコットンの含有率は、100%のアイテムがほとんど。
それ以外でも含有率は95%以上で、
「ストレッチ素材」や「強度が必要な縫製の糸」などの
使い心地を重視するための理由があるものばかりです。
ピープルツリーではいつか全てのコットン製品に
オーガニックコットンを使用できるよう、目指しています。
オーガニックコットンと普通のコットン
オーガニックコットンは、有機農法により育てられたコットンのこと。
落葉剤や農薬を使った通常の栽培方法からオーガニック農法に切り替えても、それらの科学物質の影響が栽培地からなくなるまでに3年かかります。化学合成した肥料や農薬を3年以上使っていない農地で栽培されたコットンを、初めてオーガニックコットンと呼ぶことができます。
誤解されている方も多いのですが、オーガニックコットンと普通のコットンは、原綿となった段階で性質に違いはありません。オーガニックコットンとは「品質の違い」というよりも、「栽培方法の違い」といった方が的確かもしれません。
また「オーガニックコットン製」というだけで、エコロジーな素材でつくられ、高価なもので、健康によいものだと思われがちですが、オーガニックコットンという言葉が製品としての品質の高さを保障するものではありません。
普通のコットンと大きく違う点は、化学物質や農薬などを使わないという科学的な根拠から「栽培時に環境に配慮されている」ということです。
オーガニックコットン認証
ピープルツリーの商品につけられている「Global Organic Textiles Standard(GOTS)」マーク。
オーガニック原料が70%以上なければ付けることができないだけでなく、製造・加工・販売の工程に関わるすべての団体が個別に認証を受ける必要がある。マークにつく認証番号によってデータベースから団体の検索もできる。
日本国内においては、オーガニックコットンやオーガニックコットン製品について、公的機関が定める認証や表示の規定はありません。そのためか、「無添加」「天然素材」など、あたかも「オーガニックコットン」であるかのような、誤解を招く表示が多く見られます。
国際的な表示の規定としては、「Organic Exchange Standarts(OE)」や、ピープルツリーの商品につけられている「Global Organic Textiles Standard(GOTS)」など、いくつかあります。
ところが、オーガニックコットンの含有率には、国際的な基準でも認証団体によって規定が異なっています。
たとえば、OEの基準では含有率が5%以上でも良いとされています。
そのため、ほんの少しオーガニックコットンが含まれているだけの商品が、「オーガニックコットン」と紹介されることが少なくありません。
近年は、 「Better Cotton Initiative(BCI)」など、大手企業が中心となって、基準がゆるやかで、かつ「低価格の製品をつくる」という要求に応じられるオーガニックコットンが登場し、中にはファストファッションのアイテムとなっているものもあります。
BCIの登場などにより、消費者にとってオーガニックコットンは身近なものとなりました。
しかし、一般的なコットンとオーガニックコットンとの違いが不鮮明になり、
「なぜオーガニックコットンが求められるのか」という意義が分かりにくくなったともいえます。
農薬と水の使用量、二酸化炭素の排出を減らして、環境を守るため
数字で見る世界のコットン
世界で75%の人が衣料として着用するコットン。
使用される生地の、少なくとも40%がコットン製です。
そして、コットン産業には約3億人の人びとが従事しています。
原綿となるコットンを栽培しているのは世界80カ国。
世界生産量の約80%がインドや中国、ウズベキスタンなどの発展途上国の人びとによって生産されています。
中でもインドはコットン畑の面積、コットン生産量も世界第2位です。
インドでは耕地の5%がコットン畑。そのわずかな土地に、インド全体で使用される農薬使用量の54%が使われています。
コットン栽培で使用されている農薬には毒性の高いものが多く、中には2001年国連環境プログラム(UNEP)の会議で120カ国が製造と使用の禁止に合意した9種類の物質が含まれています。
それらはいまだに使用されているものもあります。
また、コットン栽培には大量の水も必要です。 従来の農法でコットンをつくった場合、Tシャツ1枚分では2,000リットル以上、デニムパンツ1本分を栽培するには4,500リットルを超える水が必要です。農業国の多くでかんばつによる水不足が深刻になっている今、この問題は深刻です。
それから、CO2の排出量の問題もあります。
最も広く使われている人口繊維、ポリエステルは石油を原料としています。ポリエステルをはじめとする化学繊維の製造には多くのエネルギーが必要で、膨大な量の原油が使われ、製造の過程で何百トンものCO2が排出されます。
【オーガニックコットン生産上位5カ国】
インド(51%)、シリア(19%)、トルコ(17%)、中国(5%)、タンザニア(2%)、その他(6%)
(数字は「Organic Exchange Report:2007-2008」より)
オーガニック農法でのコットン
世界のコットン総生産量のうち、オーガニックコットンの生産量は、わずか1%未満。
主な生産国はインド、トルコ、中国、タンザニア、アメリカなど、世界18か国。
オーガニックコットンの最大の生産国はインド。2008年時点で50%以上を占めています。
インド政府も有機農法全体の促進に力を入れており、2007年の5カ年計画では250億ルピーの予算を組みました。
インドは4,000年前からコットンをオーガニック農法でつくってきました。
化学肥料を一切使うことなく、機械による農薬散布も行わないオーガニック農法なら、これらを使用した場合に比べてエネルギーの削減につながります。 また、オーガニック農法によって土中で生きる微生物が増え、結果としてCO2の吸収力もアップします。
貧困にあえぐコットン農家の負の連鎖を断ち切るため
世界フェアトレード連盟(WFTO)により認証を受けた団体の製品につけられる「製品ラベル認証」は、原料から生産までの各段階でフェアトレードの10の指針が守られていることを示します。日本での販売はピープルツリーが第1号です。
コットン栽培している農家のうち、90%は貧困や飢餓に苦しんでいます。
世界保健機関(WHO)調査では、コットン畑に使用する毒性の高い農薬のために、全世界で年間300万人もの人びとが健康を害し、2万人が死亡しています。
世界の農作物栽培面積10%(約3500万ha)のうち、コットン畑はわずか2.5%。
それだけの面積に対して、世界中で使われる殺虫剤の16%が使われています。
長期にわたる農薬の使用で、人間を含む動物の生態系に異常をきたしています。殺虫剤を繰り返しつかうことにより、害虫に耐性がついてより毒性の強い殺虫剤が必要になります。肥料は常に追加をしなければ土壌に養分を保つことができません。殺虫剤や農薬、枯れ葉剤などの過剰な使用によって健康を害する一方で、コットンをつくるためのコストが高まっています。
また、農薬や肥料、遺伝子組換えのコットン種(GM種)の購入のために莫大な借金を抱えることになり、自殺をする農家が2014年までの20年間で27万人いるといわれます。
貧しさのために、子どもたちは学校に通うことができず、幼いころから働かされています。
一方でオーガニック農法に転換すると、農家の経済的な負担は40%削減されると試算されます。
また、フェアトレードで取引をすることにより収入が安定するので、農家は貧困から脱出するための糸口を見つけることができ、子どもたちが学校に通うことができるようになります。
オーガニックコットンを栽培することは、フェアトレードによる貧困問題への解決策と高い親和性があるのです。
参考:
・ Textile Exchange Farm & Fiber Report 2011-2013
・なぜオーガニック・コットン? ― NPO法人日本オーガニック・コットン協会(JOCA)
・生きている地球のためのより良い生産 ― 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
・インドにおけるオーガニックコットン生産の概況 ― 独立行政法人 国際協力機構(JICA) インド事務所
・オーガニックコットンとは ― 日本オーガニックコットン流通機構
・ベターとベスト ― 日本オーガニックコットン流通機構
・「コットンのやさしい気持ち」プロジェクト ― 国際協力NGO「ACE」
・GOTS_Version4-01March2014Japanese/English ― Global Organic Textiles Standard(GOTS)
・『Naked Fashion』 ― サフィア・ミニー(著)