それぞれの国や生産者団体、各生産者の状況によって変化はさまざまですが、1日1度だった食事が3度とれるようになったり、今まで一家5人がひとつの部屋で寝ていたのが、より広い住宅を借りられるようになったという家族もいます。また、子どもを学校に通わせることができるようになったり、将来に備えて貯蓄ができるようになった人など、これまでになかった生活の変化が起きています。
さらに重要なことには、自らの力で生計をたてることによって、生産者はお金では買えない強い自尊心や自信、誇りを得ることができます。これまで性別やカースト制の名残である階級、民族、身体の障がいなどを理由に差別を受け、権利を否定されてきた人びとが、社会や家庭の中で力を得ることができるのです。
フェアトレードは、手仕事やオーガニック農法を重んじ、自然資源を持続可能な方法で使用します。大資本による大規模な機械設備や石油に依存しない生産方法を支援することで、CO
2排出量の削減を目指しています。また、長期的な取引を約束することで、生産者パートナーも環境にやさしい生産のための設備投資などをすることができるのです。
このような取り組みは、生産地のみならず世界中で環境への意識を高める役割も果たしています。さらにフェアトレードは、それぞれの国や地域で自分たちの製品の市場をつくり、持続可能な経済システムと地域発展を実現することをサポートします。
農産物などは、日本で手に入りにくい製品の取引を基本としており、生産国だけではなく輸入国における産業の持続可能性にも配慮しています。
まず、フェアトレードは貿易の仕組みのひとつであって、寄付金ではないことをご理解ください。
そのため、生産などに必要なコストを除いた全ての金額が、生産者に手渡されるわけではありません。
「商品の価格のうち、○円相当が生産者の手に渡る」という回答をすぐに出すのは、とても難しいです。
また、生産者の手に直接渡す賃金だけではなく、生産者が安心して働き続けられるための生活および労働環境環境の改善(安全な職場環境を整備し、出稼ぎへ出ることなく自分の町や村で働くことができ、地域に医療所をつくり、子どもを学校へ通わせられるなど)も、フェアトレードがもたらす恩恵です。
生産者団体との間で製品の買い取り価格を決める際、最も基本的なことは「双方の合意によって決定する」ことです。生産者団体から原料価格や賃金、団体や社会プロジェクトの運営に必要なコストを反映した価格を提示してもらい、双方が納得した上で決定します。提示された価格が高すぎて販売が難しいと判断した場合、交渉をすることもあります。その際には、原料費や作業費の内訳まで精査し、コストダウンがはかれるよう率直に相談します。
これらは一般の取引と変わらないように思えるかもしれませんが、途上国の小規模農家や手工芸品の職人たちは、立場が弱いために一方的に買い叩かれ、価格決定に参加できないケースが多いのです。そのような生産者と対等なパートナーシップで取引をすることが、フェアトレードの使命のひとつです。
【ピープルツリーの場合】
ピープルツリーの衣料品や雑貨の場合、生産者団体に支払われている額(原料費、生産者の賃金、現地での輸送費等含む)が商品価格(小売価格)に占める比率は約15%です。
これとは別に、ピープルツリーが約10%を商品開発や品質管理のサポートなど生産者の技術向上のために使っています。
さらに輸入時の関税や物流費、販売のための経費がかかります。
フェアトレードでは1種類の商品についての生産数が少ないことが多いため、コストが割高になることもあります。生産者団体に支払われている額の占める比率の高低は、必ずしもフェアであるかどうかの判断基準にはなりません。大切なことは、製品をつくっている生産者が、その仕事で得られる収入によって生活の向上がはかられているかです。
ピープルツリーでは、スタッフが定期的に現地を訪れて、生産者の人びとの生活状況についてヒアリングを行っています。これまでのヒアリングによれば、ピープルツリーの発注によって得られる収入は、現地で同程度の仕事をする場合に比べて、1.3倍から2倍程度であることが明らかになっています。
また、地域によっては、地元に収入の機会がほとんどなく、都市に出稼ぎに行かざるを得ない村で、フェアトレードのプロジェクトが新たな収入の機会を生み出しているケースもあります。
賃金を渡すタイミングも通常の貿易とは異なります。
フェアトレードのものづくりはすべて手作りで製作に長い時間がかかります。
そのため、ピープルツリーが商品を生産者団体にオーダーした時点で、材料の購入や生産者への賃金の支払いに充てるために、代金の半額を前払いしています。
※ WFTOで定められた「
フェアトレードの10の指針 (10 Principles of Fair Trade)」もご参照ください。
申し訳ございませんが、お断りさせていただいております。同様のお申し出が非常に多く、限られた人員で事業を行っているので、個別のご訪問の対応が難しいためです。
活動・事業内容や設立の経緯、フェアトレードの一般的な情報については
ピープル・ツリーのウェブサイトにあるフェアトレードの説明等の関連ページや
グローバル・ヴィレッジのウェブサイト等をご参照ください。
それらを参照いただいた上、ほかのご質問等がございましたら、できるだけ具体的に質問内容を箇条書きにし、メールでお送りいただければ、可能な限り対応いたします。
しかし多くのお問い合わせをいただくため、返答に時間がかかる場合や、すべて対応できない場合もございますのであらかじめご了承ください。
また、グローバル・ヴィレッジ/ピープルツリーでは年に不定期に、フェアトレードの生産者を招いたり、フェアトレードや関するテーマでセミナーを行ったりしております。
イベント情報をご確認の上、ぜひご参加ください。
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