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記事: 3月8日は国際女性デー
フェアトレードによる女性の社会進出支援

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3月8日は国際女性デー
フェアトレードによる女性の社会進出支援

広報・啓発担当のスズキです。
あたたかな日も増え、お花屋さんに色とりどりのお花が並ぶようになると、春ならではの弾けるようなエネルギーを感じます。特に黄色い花が好きな私は、ミモザを見かけると心の中に太陽が生まれたような気分になります。

3月8日は、ミモザの日。イタリアでは「女性の祝祭(フェスタ・デラ・ドンナ)」として日ごろお世話になっている女性に感謝と敬意をこめてミモザを贈る日。街中がミモザや黄色のアイテムで飾られ、寒い冬が終わり、春の訪れを感じられる華やかな1日です。

 

 width=バングラデシュのフェアトレード団体「サイドプール・エンタープライズ」から届いた、手刺繍のアイテム

 

そして3月8日は、国連が定めた記念日「国際女性デー」でもあります。
1908年、縫製工場の劣悪な環境下で働いていた女性たちが、労働条件の改善を要求してニューヨークで起こしたデモがきっかけとされています。国連の記念日となったのは1975年ですが、今もなお、世界のあちこちで、女性の地位の向上と権利の獲得は重要な課題です。

 

フェアトレードと女性のエンパワメント


社会的・経済的に立場の弱い人びとの生活を支援するフェアトレードでは、文化的・社会的な慣習により収入の機会を持たなかった女性が仕事を得て、自立を目指すケースが多くあります。

ピープルツリーも加盟している「世界フェアトレード連盟(WFTO)」では、加盟団体で生産に携われる96万人の74%を女性が占めています。

フェアトレードによって正当な対価が支払われ、安全な場所で健康的に働ける環境が整えば女性の経済的自立につながります。

さらにフェアトレード団体の多くは、研修などで、女性の権利に対する意識向上や指導者としての機会を提供するなど、積極的に女性のエンパワメントを行っています。

エンパワメントとは、直訳すると「権限を与える」。力を発揮する機会を与えられなかった人が自分の力を取り戻し、能力を高め、その努力が認められ、社会に参加してさまざまな場面で活躍することです。

その結果、WFTOの加盟団体では意思決定に関わるポジションの54%を女性が占めています。従来型の企業では24%なので、フェアトレード団体では女性の活躍がとても進んでいることがわかります。

 width=Gender study Report WFTO 2019より、従来型企業(左)とWFTO加盟団体(右)との比較。 上から、女性の取締役、最高経営責任者、上級管理職

 

 width=Gender study Report WFTO 2019より。前述のデータを踏まえ、フェアトレード団体では従来型の企業と比べて、女性が4倍活躍できる機会があるというイラスト。従来型の企業では、見えない天井も描かれている。

 

 

自分の力で立ち上がる強さ


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エンパワメントされた素敵な女性としていつも思い出すのが、2017年に来日したインドのフェアトレード団体、クリエイティブ・ハンディクラフト(以下「CH」と略)の縫製部門の現場でマネジメントを担うロージィさんです。小柄ながらエネルギッシュで、日々、大好きな仕事でバリバリと働いていることの誇りが全身からあふれていました。

ところが、CHで働く前のロージィさんは、18歳の若さで17人もの大家族に嫁いでからずっと、家族の世話に忙殺され、夫からの家庭内暴力を受ける暗い日々を送っていたそう。

子どもが生まれたのをきっかけに、このままではいけない!と、CHの創設者であるシスターを訪ね、悩みを打ち明けたことが転機となりました。何もできないところからトレーニングセンターでの縫製の研修を受け、作業グループに加わりました。その後、仕事ぶりが認められてグループのリーダーとなり、トレーニングセンターでの教育係を経て、品質管理担当に抜擢、生産管理を任されるに至ったのでした。

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現金収入を得ることで家庭内での扱いが激変したそう。2人の子どもを大学まで進学させ、家も建て、夫の意識も変わって、「今ではとても協力的になった。本当に幸せ」と笑っていました。フェアトレードは職場に限ったことではなく、家庭内でも男女が助け合えるような関係を築くのに大いに貢献します。

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ロージィさんの力強い笑顔は、フェアトレードによるサポートを受けながら自分の力で立ち上がり培ってきた、自信から生まれたものでした。私はその神々しさに圧倒されたのでした。
「男性が教育を受けると、その人生が変わる。
女性が教育を受けると、社会が変わる」

ロージィさんのこの言葉は、きっと一生忘れられません。

つくり手の大半は女性であり、女性が主体的に働いて収入を得ることで、家庭や地域で発言権を増し、子どもの教育など次世代への投資により多くのお金が使われます。

女性の能力向上をさらに後押しすることが、フェアトレードが目指す「みんなが幸せに暮らせる世界」の推進力になります。

 

ジェンダー平等の果たす意義


WFTOが掲げる、フェアトレードの団体が守るべき「10の指針」には、「6.差別をせず、ジェンダー平等と結社の自由を守る」の項目があります。これは国連の会議で策定されたSDGs(持続可能な開発目標)の「5.ジェンダー平等を実現しよう」にも繋がります。

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ロージィさんの語ってくれた半生はまさに、女性の地位向上によって果たせることの大きさを物語っています。貧困や飢餓といった世界規模の課題に取り組み、よりよい未来をつくるためにはジェンダー平等は大前提の要素であり、不可欠であるということ。

WFTOが行うメンバー女性を対象にしたエンパワメント研修で大事にしているのが、「HAVE:持つ、KNOW:知る、WANT:望む、TO BE ABLE TO:できるようにする」の4つの視点。具体的に言うと、以下のようなことです。
まずは現金収入を得て、生活水準を改善すること
実践的な知識とスキルを知ること
自身や自尊心を持ち、精神的な強さを身に着けること
自分で将来を選択する能力と意思
意思決定を行い、自分を望む方へ動かすこと

各国の男女格差の現状を評価する「ジェンダーギャップ指数」で146カ国中116位の日本にも、大いに学ぶヒントがありそうです。

また、ピープルツリーの母体NGOグローバル・ヴィレッジでは、バングラデシュにおける女性リーダー育成のためのエンパワメント研修について、2021年3月にクラウドファンディングで資金を募りました。そのプロジェクトの進捗報告をお読みいただけます。フェアトレード団体がジェンダー平等をいかに大切にしているかがお分かりいただけると思います。

 

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バングラデシュ訪問記
~現地の今 Vol.2 女性を応援する研修プロジェクト~
記事はこちら >

 

フェアトレードのお買いものがもたらすこと


フェアトレードのお買いものは、つくり手をサポートするさまざまな活動を応援することに繋がります。日常的にできる、望む未来への投票活動です。

自分の仕事に誇りを持ち、幸せに暮らしている生産者たちが心を込めてつくったものを身にまとい、使い、味わう私たちもまた、幸せな気持ちになれます。私がフェアトレードのお買いものを好きなのは、モノの向こう側にある笑顔を想像して、清々しさと晴れやかさを感じられるからです。幸せをおすそわけしてもらっているのは、私のほうだなぁと。

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ぜひ、ウキウキした気分を楽しんでくださいね。

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