失われた機会:未曽有の震災被害と原発事故から3年
こんにちは、サフィアです。
3年前から今までを振り返り、日本の未来について私の考えをつづってみました。
■ 3年前と今
あの日私は東京のピープル・ツリーのオフィスで打ち合わせ中に地震に遭い、
外に飛び出して同僚のマサコにしがみつきながら電柱や電線、建物が激しく揺れるのを見ていました。
アスファルトの道路でさえ、まるで映画のように地割れを起こすのではないかと思いました。
東京では道路が崩れることはありませんでしたが、東北ではそれが起こってしまいました。
津波で2万人近くの人が亡くなったばかりでなく、福島の原発ではメルトダウンにより大量の放射性物質が大気に放出されました。
私のような在日外国人たちは次々と日本を離れ、数日後、外出時に放射性物質から身を守るために
レインコートを着るようにというニュースが流れました。
放射性物質は、日本各地で農地から都市まで広大なエリアに降り注ぎ、今日ですら汚染された水が海を汚し続けています。
政府は放射能による健康被害を否定していますが、信じる人はいません。
子どもを持つ若い家族の中には他の地域に移った人もいますが、
移転することのできない人たちはどうすればよいのでしょう?
■ 日本の再建
3年前の悲劇は、奇しくも日本の人びとが無私の思いやりにあふれていることを
世界に知らせ評判を高めることになりました。
その時の日本には、エネルギー政策をグリーンテクノロジーや再生可能エネルギーにシフトし、
そこで雇用を生み出しサステナブルな新しい経済を創り出す選択があったかもしれません。
しかし現実には、安倍首相はエネルギー政策の方針をあいまいにしたまま
日本の原発をアラブ首長国連邦やトルコに輸出しようとしています。
日本がエコロジカルなエネルギーにシフトするにはもう遅すぎるのでしょうか?
■ 信頼、透明性と説明責任
放射能汚染の影響や安全性、復興予算の使い道などについて、政府を信頼している国民はあまりいません。
データのねつ造や不適切な予算の使い道に関するスキャンダルが次々と明るみに出るたびに、
国民の健康や食べ物の安全性よりも企業の利益が優先されていることに人びとは失望し怒りをあらわにしています。
放射能が土地や海を汚染したために家も仕事も失った人たちの精神的苦痛に対して、
東京電力から支払われる賠償金が最大でも年わずか120万円で5年間のみ、ということが認められてしまうなら。
いったい本当の正義というものはどこにあるのでしょうか?
■ 未来に向けて
方向転換をするのに遅すぎるということはありません。
一昨年導入された再生可能エネルギーの新しい買取制度によって、
多くの小規模の事業者が再生可能エネルギー産業に参入しています。
太陽光発電設備があちこちで建設され、発電可能量は制度開始から1年余りで90%も増えていますが、
それでもまだ全電力量の2%未満を占めるにすぎません。
これらをさらに促進したりエネルギー効率を高めることに日本政府は投資や補助をして
再生可能エネルギーの普及に本腰を入れるべきです。
そうすれば貿易赤字を減らし、未来の世代のために持続可能な経済をつくることができます。
海外での日本の貢献は、原発ではなく廃炉技術を売り込むことにシフトすべきでしょう。
津波の被災地では、いくつものソーシャルビジネスや草の根の運動が生まれています。
ピープル・ツリーが設立を支援した「南三陸まなびの里~いりやど」も、
もっとも大きな被害を受けた地域のひとつで生まれました。
「(「いりやど」は)『多くの若者が集う南三陸町』をイメージし、・・・被災地の復興支援活動などから学ぶプログラムや、
南三陸の里山海の全域を研修フィールドとして活用する研修プログラムの整備に取り組んでいます。
・・・復興は、長く険しい道のりでありますが、決して倒れず、屈せず、立ち止まることなく、・・・官民一丸となって取り組んで行きます」
(プロジェクトを率いた阿部忠義さんの言葉)
市民の自発的な活動から学びを得て、もっと大きな変化につなげることは可能です。
3年という月日を経て、今こそ、クリエイティブで明るい変革に向けて行動を起こす時ではないでしょうか。
「南三陸まなびの里~いりやど」
(※ 映像には東日本大震災の津波の映像が含まれています)
南三陸の復興プロジェクトの一つ「オクトパス君」
http://ms-octopus.jp/
2012年2月、被災地を訪れたサフィア・ミニーのレポート
3年前から今までを振り返り、日本の未来について私の考えをつづってみました。
■ 3年前と今
あの日私は東京のピープル・ツリーのオフィスで打ち合わせ中に地震に遭い、
外に飛び出して同僚のマサコにしがみつきながら電柱や電線、建物が激しく揺れるのを見ていました。
アスファルトの道路でさえ、まるで映画のように地割れを起こすのではないかと思いました。
東京では道路が崩れることはありませんでしたが、東北ではそれが起こってしまいました。
津波で2万人近くの人が亡くなったばかりでなく、福島の原発ではメルトダウンにより大量の放射性物質が大気に放出されました。
私のような在日外国人たちは次々と日本を離れ、数日後、外出時に放射性物質から身を守るために
レインコートを着るようにというニュースが流れました。
放射性物質は、日本各地で農地から都市まで広大なエリアに降り注ぎ、今日ですら汚染された水が海を汚し続けています。
政府は放射能による健康被害を否定していますが、信じる人はいません。
子どもを持つ若い家族の中には他の地域に移った人もいますが、
移転することのできない人たちはどうすればよいのでしょう?
■ 日本の再建
3年前の悲劇は、奇しくも日本の人びとが無私の思いやりにあふれていることを
世界に知らせ評判を高めることになりました。
その時の日本には、エネルギー政策をグリーンテクノロジーや再生可能エネルギーにシフトし、
そこで雇用を生み出しサステナブルな新しい経済を創り出す選択があったかもしれません。
しかし現実には、安倍首相はエネルギー政策の方針をあいまいにしたまま
日本の原発をアラブ首長国連邦やトルコに輸出しようとしています。
日本がエコロジカルなエネルギーにシフトするにはもう遅すぎるのでしょうか?
■ 信頼、透明性と説明責任
放射能汚染の影響や安全性、復興予算の使い道などについて、政府を信頼している国民はあまりいません。
データのねつ造や不適切な予算の使い道に関するスキャンダルが次々と明るみに出るたびに、
国民の健康や食べ物の安全性よりも企業の利益が優先されていることに人びとは失望し怒りをあらわにしています。
放射能が土地や海を汚染したために家も仕事も失った人たちの精神的苦痛に対して、
東京電力から支払われる賠償金が最大でも年わずか120万円で5年間のみ、ということが認められてしまうなら。
いったい本当の正義というものはどこにあるのでしょうか?
■ 未来に向けて
方向転換をするのに遅すぎるということはありません。
一昨年導入された再生可能エネルギーの新しい買取制度によって、
多くの小規模の事業者が再生可能エネルギー産業に参入しています。
太陽光発電設備があちこちで建設され、発電可能量は制度開始から1年余りで90%も増えていますが、
それでもまだ全電力量の2%未満を占めるにすぎません。
これらをさらに促進したりエネルギー効率を高めることに日本政府は投資や補助をして
再生可能エネルギーの普及に本腰を入れるべきです。
そうすれば貿易赤字を減らし、未来の世代のために持続可能な経済をつくることができます。
海外での日本の貢献は、原発ではなく廃炉技術を売り込むことにシフトすべきでしょう。
津波の被災地では、いくつものソーシャルビジネスや草の根の運動が生まれています。
ピープル・ツリーが設立を支援した「南三陸まなびの里~いりやど」も、
もっとも大きな被害を受けた地域のひとつで生まれました。
「(「いりやど」は)『多くの若者が集う南三陸町』をイメージし、・・・被災地の復興支援活動などから学ぶプログラムや、
南三陸の里山海の全域を研修フィールドとして活用する研修プログラムの整備に取り組んでいます。
・・・復興は、長く険しい道のりでありますが、決して倒れず、屈せず、立ち止まることなく、・・・官民一丸となって取り組んで行きます」
(プロジェクトを率いた阿部忠義さんの言葉)
市民の自発的な活動から学びを得て、もっと大きな変化につなげることは可能です。
3年という月日を経て、今こそ、クリエイティブで明るい変革に向けて行動を起こす時ではないでしょうか。
「南三陸まなびの里~いりやど」
(※ 映像には東日本大震災の津波の映像が含まれています)
南三陸の復興プロジェクトの一つ「オクトパス君」
http://ms-octopus.jp/
2012年2月、被災地を訪れたサフィア・ミニーのレポート