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記事: 日々のくらしをかけがえのないものに
手紙をかくこと

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日々のくらしをかけがえのないものに
手紙をかくこと

企画のフミです。

最近、よく手紙を書くようになりました。
手紙を書く目的はひとつで、その人を大事に想っているという気持ちを伝えたい。
「ありがとう」とか、直接的な言葉を書くことはないけれど、
日々のことや、感じたことを綴るだけで、
その雰囲気から、気持ちが少しでも伝わると良いな、と思っています。

そんな想いを伝えるのに、私はピープルツリーのカードを使います。
便箋を前にすると気負ってしまうし、
日々のことを伝えるのには、私はカードがちょうどいいサイズ。

今までは、活版印刷のカード、好きな画家のハガキなどを選んでいたのですが、
洋紙よりもほっこりとした紙質や、触れたときの独特の感触が、
相手への気持ちを伝えてくれるような気がして、最近はこればかりです。

ピープルツリーに入社して初めて出張で訪れたのは、
バングラデシュ北部にある紙製品をつくるグループでした。
未亡人をはじめ、夫による暴行に苦しむ女性、
病気などで夫が働けないなどの理由をもつ女性およそ70名が働いていました。

「手漉き紙」と聞くと和紙を思い浮かべがちですが、実際に足を運んでみると、
日本のそれとはひと味違ったバングラデシュらしい手漉き紙のぬくもりがあることに気づかされました。

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まずはバラエティ豊かな原料。
ジュート、パイナップル、ホテイアオイという植物、麦わらや余剰コットンなどのリサイクル素材を使ってつくっていきます。
そして、その工程は気が遠くなるほど……。
繊維をナタで細かくし、ていねいに洗って、煮出す。
繊維がやわらかくなったらまた洗う……。
その後、洗浄を繰り返し、やっと手漉きの工程へ。
一枚一枚乾かしたら、最後は紙を滑らかにプレスする工程を繰り返す。
これは洋紙に慣れた私たちがさらさらと書けるようにと、使い手への配慮なのです。​
この気が遠くなるほどの地道な作業を繰り返し、長い時間を経てやっと一枚の紙ができあがります。
ひとつの工房に70人も働いているという理由がうなずけます。

たくさんの工程を経てつくられる、この手漉き紙には、
「懐かしい」味わいや、時代の移り変わりとともに失われてしまった、何かが心に響いてきます。
それが手漉き紙の魅力だと私は感じています。

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もうすぐピープルツリーに入社して、8年を迎えます。
この8年の間に同じ会社の仲間からもらった手紙の数は30通を超えます。
そのほとんどはこの手漉き紙のカードたち。
これは誕生日やそのほかの記念日などをきっかけに、
いつもなかなか聞けない想いが言葉になって描かれています。
その手紙を前にすると、何とも言えない面映ゆい気持ちになります。

時間が経った今も大事に保管していて、
落ち込んだときや、ふとしたときに読み返して、うれしい気持ちにさせてくれる、
私にとってはかけがえのないものです。

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もしかしたら若い人たちは、最初からメールのやりとりで、
手紙を書いたこともない人もいるかもしれません。
メールだと、すぐに相手に伝えられるという利便性もありますが、
手紙の良いところは、文章を書いている間、相手の手元に届くまで、ずっと相手のことを思えるところ。
メールだと勝手に変換されてしまう文字も、
調べて改めて自分で書いてみると、不器用な文字でも想いがあらわれてくるのも、魅力です。

手紙を書くことで、心に少しゆとりができたり、
相手を想う時間をつくることで、心が豊かになります。

日々のくらしの中に、そんな時間をつくってみてはいかがでしょうか。

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