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記事: ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジ 28周年を迎えて

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ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジ 28周年を迎えて

ピープルツリーを立ち上げてから28年の間に、信念を持って立ち上がる人が増えてきたと感じます。自分たちが選び、声を上げることで、自分が暮らす世界、子どもたちが暮らす未来を変えることができるという信念を皆がどこかで共有しているからです。

私は、立場の弱い人びとや自然資源を搾取している犯人を探したり、経済や社会の仕組み、あるいは自分も含めた人間の性(サガ)に人や環境を傷つける原因を探しています。そして試行錯誤しながらなんとか世界を良くしようと続けてきた努力を、認めて支えてくださる皆さんに感謝しています。

28年間、私たちと同じように、あるいは違ったやり方で世界をよくしようと努力してきた人びとのおかげで、ピープルツリーは社会にインパクトを与えることができ、その存在を知られるようになりました。今日、環境や社会のシステムはこれまでにないほど悪化し、限界に達してうまく回らなくなってきましたが、ピープルツリーは小さな力を最大限に使って、ビジネスを通じて世界をよりよくしていきたいと思います。

ピープルツリーを立ち上げた当時、ものを売ったり買ったりする新しいやり方を目指していました。消費者のライフスタイルの変化によって避けて通れなくなってきた搾取や破壊をしないやり方です。ピープルツリーは(モノがつくられ買い手に届くまでの)サプライチェーンを新たに築いたり、ごく初期の頃からオーガニックコットンを商品に取り入れたり、商品企画に始まって原料の栽培、加工を経て商品になるまでの各工程における手仕事と収入の機会を創り出すことに貢献してきました。

2013年に1,000人以上の犠牲者を出したバングラデシュのラナ・プラザ縫製工場の事故が起こってようやく、企業が下請けや孫請けをエシカルな基準で見直すようになりました。消費者は、エシカルなサプライチェーンを実現することは可能であることを知り、自分が購入するブランドに対して現実的で人間的なやり方を求めるようになっています。

商品をお買い上げいただくお客さまとして、あるいは支援者やアドバイザーとして、さまざまな形で支えてくださったみなさまのおかげで、ファッション業界に働く人の労働条件に目を向けさせる役割の一端をピープツリーが担ってこられたことを誇りに思います。同様に、毎日身に着けるファッションがCO2排出などで環境に与えている負荷を軽減することにも、私たちがひとつの役割を果たしていきたいと考えています。

「私を助けに来なくていい。でもあなた自身を開放するために来るのなら、それは私の開放にもつながるから一緒に闘いましょう」-これは、50年前にクイーンズランドでアボリジニーの活動家たちが結集したときに掲げたメッセージです。
私はこの言葉に、私たちピープルツリーも含めて、「貧しい人を助けたり、環境破壊を語るというのは非常におこがましい。すべての人は加害者であり、自分の行いが巡り巡って自分たちに跳ね返ってくる」という意図を感じます。
この意味と大切さを、社会で恵まれた地位に生まれた人たちまでも理解し始めているように思います。この思いがあれば全てが始まります。次の28年間、皆さんが毎日私たちのことを思い気に掛けてくれ、私たちも同様に皆さんをサポートできたら、それは大きな輪になって循環し広がります。私は自分や自分が暮らす世界の未来をもっと信じ、少し安心することができます。


2019年11月1日

フェアトレードカンパニー株式会社

代表取締役社長・共同創設者 ミニー・ジェームズ