コンテンツへスキップ

記事: ネパールの児童養護施設からの巣立ちを支えて
~寄付つきのお買いもの『Walk with Nepal』プロジェクト~

reports

ネパールの児童養護施設からの巣立ちを支えて
~寄付つきのお買いもの『Walk with Nepal』プロジェクト~

ピープルツリーにあたたかな手編みのニット製品を届けてくれる、ネパールの生産者パートナー「クムベシュワール・テクニカル・スクール(KTS)」。

ピープルツリーは、長年にわたるフェアトレードのものづくりのパートナーシップとともに、KTSが運営する児童養護施設を支援するため、2017年からファッションアイテム1点の販売につき100円の寄付を送っています。毎年みなさまのお買い上げの中から30万~40万円程度を継続的に送ることで、施設の運営費の20%近くが支えられています。

≪2018年には現地を訪問しました≫
レポートはこちら>>

KTSのディレクター、キラン・カドゥギさんから、感謝とともに最近の養護施設の活動についてレポートが届きました。

「現在施設で生活している子どもは、8歳から18歳までの女の子3人、男の子7人の合計10人です。高校を卒業したスビナ・アチャミは、伯母さんと暮らすことが決まり施設を離れました。新たに加わった8歳の男の子アーカシュ・マグラティは、2年前に父親が病気で亡くなり、母親が精神を病んで養育が難しくなったため受け入れることになりました」

(左)新たに加わったアーカシュ・マグラティくん
(右)寮の自習ルームで思い思いに勉強する子どもたち

 

KTSは、1983年にキランさんの父で国会議員だった故シッディ・バハドゥール・カドゥギさんによって設立されました。貧困層の人びとの生活向上のために職業訓練や子どもたちの教育プロジェクトを運営し、職業訓練を終えた人びとの雇用の場としてニット製品をはじめとする生産活動を行っています。

KTSが養護施設の運営を始めたのは1994年のこと。貧困層の人びとの支援を行うKTSに、地元の警察や行政の福祉担当者から、身寄りのない子どもや家庭の事情で親が育てられない子どもを預かってほしいという要望が寄せられたことがきっかけでした。ヨーロッパからの助成金と建築家の無償協力を得て施設の建物を建設し、支援を必要とする少年少女たちが共同で生活する施設をつくったのです。

現在この施設に暮らす10人のうち、年少の二人はKTSが運営する小学校に、中学校以上の8人は地元の公立校に通っています。

「コロナ禍では休校になったりオンライン授業になっていましたが、今は日常に戻っています。あいにく1人がコロナにかかり、他の4人も感染して医師の指導を受けながら隔離療養をしていましたが、幸い全員回復しました。インフルエンザにかかった子もいましたがすぐに治療を受けて回復し、今は全員元気で新学年に進級しました」

寮では登校前の朝食、下校後の夕食と2回のおやつを提供しています。二人の寮母が家庭的な食事をつくっています。

寮の食堂で食事をとる子どもたち

 

「このたび、30年近く寮母を務めていたティカ・マガールさんが引退しました。ティカさんは夫を交通事故で亡くし、KTSが寮母の仕事を提供して二人の息子も施設に受け入れたのです。二人はKTSのサポートを受けて高校まで通い、ホテル・マネジメントの専門コースを修了してそれぞれ独立して暮らしています。

ティカさんの後任として、調理と保育の経験を持つディルマヤ・ディマルさんが仕事を引き継ぎます。そして、この施設の卒業生であるナムラータ・タパさんが、寮母のアシスタントを務めることになりました」

送別会で施設長のカルマ・カドゥギさんから記念品を手渡されるティカ・マガールさん(右)

新しい寮母のディルマヤ・ディマルさん(左)と寮母アシスタントのナムラータ・タパさん(右)

 

「ピープルツリーの継続的な支援のおかげで、施設の子ども達の学費や文房具、健康診断などの費用をまかなえています。活動を支えてくれるピープルツリーと、KTSの製品を購入してくださる日本のみなさんに、心から感謝申し上げます」

 

私(グローバル・ヴィレッジ代表 胤森)は、2018年11月に現地を訪問して活動を視察しました。そのとき、寮の食堂で子ども達におやつを用意していたのが、このたび引退されたティカ・マガールさんでした。ティカさんが寮母の仕事を始めた経緯や息子さん達がこの施設で暮らしていたことを、今回のキランさんからのレポートで初めて知り、30年近く継続されてきたこの取り組みの尊さをあらためて感じました。

 

毎年のレポートに、高校や大学に進学するなどして施設を巣立った子ども達のことが報告されています。4年前に会ったウルミラさんとガンガラムくんも、既にここを離れてそれぞれの道を歩んでいるそうです。当時成績優秀で表彰された二人は、22歳、21歳になった今、きっと将来有望な青年となっていることでしょう。

日本の私たちからの小さな支援が、彼らの将来を少しでも明るくすることに役立ったとしたら嬉しく思います。

 

これからも、ピープルツリーがフェアトレードのパートナーとして、また養護施設や小学校、職業訓練の運営などの社会的活動を支えるサポーターとして、KTSの応援を続けられることを願っています。

 

2018年の現地訪問レポートはこちら>>

KTSの寄付付きお買い物はこちら>>