ファッションレボリューション・デーに向けて、バングラデシュの衣料産業の今
4月24日は、ファッションレボリューション・デー。
2013年の同日にバングラデシュで起きた、ラナ・プラザの崩壊事故をきっかけに、衣料生産現場の安全性や企業の透明性など、ファッション業界の在り方について見直そうという国際的なキャンペーンです。
先日、バングラデシュ衣料品産業労働組合連合(NGWF)の代表を務めるアミンさん(2015年ドイツのニュルンベルク国際人権賞を受賞されました)が来日されましたので、バングラデシュの現状や、ラナ・プラザの事故以降の変化について、お話を伺いました。アミンさんは、大きな変化として主に3つのことを挙げました。
バングラデシュには5,000以上の工場があり、420万人が働いています。ラナ・プラザでは、壁にひびが入るなど建物が危険な状況にあったのにも関わらず、労働が強制され、1,138名が亡くなり、2,500人以上が負傷する大事故へとつながってしまいました。
事故後、NGWFによる交渉によって、バングラデシュで衣料品を調達している約200のブランドや多国籍企業が、国際的な労働組合や地元の労働組合と安全協定に合意しました。これにより、全ての工場は建物・火災対策・電気系統の3分野において安全性の点検が義務付けられるようになりました。すでに3,000の工場で点検が実施され、29の工場が「非常に危険」と判断されたそうです。
最低賃金の見直しでは、経験の浅い労働者の月給が3,000タカ(約4,600円)から5,300タカ(約8,100円)に、熟練工で4,200タカ(約6,400円)から6,800タカ(約10,400円)となりました。それでも、家族と生きるには不十分です。多くの工場がある首都ダッカで家族と生活するには、最低でも10,000タカ(約15,300円)が必要です。
そのため、賃金引き上げの交渉を続ける必要がありますが、そもそも労働組合で活動すること自体が、バングラデシュでは難しいといいます。なぜなら、労働環境を改善しようとする態度を取るだけで、 解雇されたり、頻繁に嫌がらせや脅しを受けたり、逮捕されてしまうリスクがあるのです。労働者が職場で独自の組合を結成する「権利」を得ることはできましたが、まだまだ活動に制限があるとのこと。もっと労働組合の権利を自由に行使できるように、実質的な改善が必要です。
また、衣料労働者は地方出身者で、労働組合を結成することにも都会の生活にも慣れていません。さらに労働者の85%が女性ですが、バングラデシュでは女性は低い地位に置かれています。工場での職を失えば、新たな雇用の機会はほとんどなく、生きていけない。だからこそ、劣悪な環境でも我慢せざるを得ないという、厳しい現実があるのです。一方で、工場の経営者やオーナーはバングラデシュのエリートです。たとえば、現在300人いる国会議員のうち、約60人が衣料工場のオーナーです。間接的なかかわりを持つ人は、さらに多くいます。衣料品産業全体に大きな影響力を持つ人たちが法律を作っていることからも、労働者の権利を守り、向上させる闘いの困難さがうかがえます。
なぜ、衣料品産業における労働条件の改善が他の産業と比べて難しいかというと、こうした国内の状況に加えて「衣料品産業の上流に位置する“主役”が国外にいるからだ」とアミンさんは指摘します。その主役とは、多国籍企業や輸入業者のいるアメリカであり、ヨーロッパであり、そして日本のことです。
だからこそ、先進国にいる消費者が「クリーンな商品」を買うことが大事だとアミンさんは訴えます。「安全な職場で、公正な賃金が支払われ、権利が守られ、良い環境の中でつくられたものを選んでほしい。企業側の宣伝を鵜呑みにしないで、今、実際に何が起きているのかを消費者自身が知ることが、とても大事です。そして改善のためにアンフェアな企業に圧力をかけなければなりません」
まさに“先進国の消費者”である私たちにできること。それは、「誰が、どこで、どんな状況でつくったか」に、もっと関心を持つことです。フェアトレードでのお買いものも、解決策のひとつ。フェアトレードの商品をつくっているつくり手は、地元で手仕事を活かした収入の機会を得ることができ、家族と離れてまで劣悪な環境に出稼ぎに行かずに済みます。学校や医療施設など、生産者本人だけでなく、その家族や地域の人にも恩恵があります。 ぜひ、お買いものの選択肢にフェアトレードを取り入れてみてはいかがでしょうか? それが、社会的・経済的に弱い立場にある人びとの継続的な支援になります。
★ファッションレボリューションデー
4月24日(金)のイベントはこちら
http://www.peopletree.co.jp/event/fashrev/index.html
★フェアトレードのお買いものはこちら
http://www.peopletree.co.jp
2013年の同日にバングラデシュで起きた、ラナ・プラザの崩壊事故をきっかけに、衣料生産現場の安全性や企業の透明性など、ファッション業界の在り方について見直そうという国際的なキャンペーンです。
先日、バングラデシュ衣料品産業労働組合連合(NGWF)の代表を務めるアミンさん(2015年ドイツのニュルンベルク国際人権賞を受賞されました)が来日されましたので、バングラデシュの現状や、ラナ・プラザの事故以降の変化について、お話を伺いました。アミンさんは、大きな変化として主に3つのことを挙げました。
- 多国籍企業と労働組合の間で安全協定が結ばれた
- 最低賃金が改定された
- 労働者が独自の労働組合を結成できるようになった
バングラデシュには5,000以上の工場があり、420万人が働いています。ラナ・プラザでは、壁にひびが入るなど建物が危険な状況にあったのにも関わらず、労働が強制され、1,138名が亡くなり、2,500人以上が負傷する大事故へとつながってしまいました。
事故後、NGWFによる交渉によって、バングラデシュで衣料品を調達している約200のブランドや多国籍企業が、国際的な労働組合や地元の労働組合と安全協定に合意しました。これにより、全ての工場は建物・火災対策・電気系統の3分野において安全性の点検が義務付けられるようになりました。すでに3,000の工場で点検が実施され、29の工場が「非常に危険」と判断されたそうです。
最低賃金の見直しでは、経験の浅い労働者の月給が3,000タカ(約4,600円)から5,300タカ(約8,100円)に、熟練工で4,200タカ(約6,400円)から6,800タカ(約10,400円)となりました。それでも、家族と生きるには不十分です。多くの工場がある首都ダッカで家族と生活するには、最低でも10,000タカ(約15,300円)が必要です。
そのため、賃金引き上げの交渉を続ける必要がありますが、そもそも労働組合で活動すること自体が、バングラデシュでは難しいといいます。なぜなら、労働環境を改善しようとする態度を取るだけで、 解雇されたり、頻繁に嫌がらせや脅しを受けたり、逮捕されてしまうリスクがあるのです。労働者が職場で独自の組合を結成する「権利」を得ることはできましたが、まだまだ活動に制限があるとのこと。もっと労働組合の権利を自由に行使できるように、実質的な改善が必要です。
また、衣料労働者は地方出身者で、労働組合を結成することにも都会の生活にも慣れていません。さらに労働者の85%が女性ですが、バングラデシュでは女性は低い地位に置かれています。工場での職を失えば、新たな雇用の機会はほとんどなく、生きていけない。だからこそ、劣悪な環境でも我慢せざるを得ないという、厳しい現実があるのです。一方で、工場の経営者やオーナーはバングラデシュのエリートです。たとえば、現在300人いる国会議員のうち、約60人が衣料工場のオーナーです。間接的なかかわりを持つ人は、さらに多くいます。衣料品産業全体に大きな影響力を持つ人たちが法律を作っていることからも、労働者の権利を守り、向上させる闘いの困難さがうかがえます。
なぜ、衣料品産業における労働条件の改善が他の産業と比べて難しいかというと、こうした国内の状況に加えて「衣料品産業の上流に位置する“主役”が国外にいるからだ」とアミンさんは指摘します。その主役とは、多国籍企業や輸入業者のいるアメリカであり、ヨーロッパであり、そして日本のことです。
だからこそ、先進国にいる消費者が「クリーンな商品」を買うことが大事だとアミンさんは訴えます。「安全な職場で、公正な賃金が支払われ、権利が守られ、良い環境の中でつくられたものを選んでほしい。企業側の宣伝を鵜呑みにしないで、今、実際に何が起きているのかを消費者自身が知ることが、とても大事です。そして改善のためにアンフェアな企業に圧力をかけなければなりません」
まさに“先進国の消費者”である私たちにできること。それは、「誰が、どこで、どんな状況でつくったか」に、もっと関心を持つことです。フェアトレードでのお買いものも、解決策のひとつ。フェアトレードの商品をつくっているつくり手は、地元で手仕事を活かした収入の機会を得ることができ、家族と離れてまで劣悪な環境に出稼ぎに行かずに済みます。学校や医療施設など、生産者本人だけでなく、その家族や地域の人にも恩恵があります。 ぜひ、お買いものの選択肢にフェアトレードを取り入れてみてはいかがでしょうか? それが、社会的・経済的に弱い立場にある人びとの継続的な支援になります。
(ピープル・ツリー PR担当 スズキヒロミ)
★ファッションレボリューションデー
4月24日(金)のイベントはこちら
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★フェアトレードのお買いものはこちら
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