現役大学生、欧州から日本のフェアトレードを考える vol.1
「その啓蒙活動、まだ続けますか?」
初めまして、今年の7月までピープルツリーでインターンシップをさせていただいていました、桑原豊と申します。
現在私は、日本でフェアトレード製品を普及させるという自身の夢を実現させるために、オランダのサクシオン大学で持続可能な国際ビジネスを勉強しています。これから1年間、月に1度の頻度で、ヨーロッパのフェアトレードのリアルな情報を現地から読者の皆さまに発信していきます! どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の留学するここオランダは、有名な国際フェアトレード認証ラベル(マックスハベラー)が誕生した土地で、現在は95%もの都市がフェアトレードタウンに認定されています。私の大学があるここデーフェンターも2014年にフェアトレードタウンに認定されており、フェアトレードがとても身近なものだと感じることができます。街のスーパーマーケットでは当たり前にフェアトレード製品が見られるので、買い物に行くたびに「こんなものまでフェアトレードされてるんだ」という驚きと感動でいっぱいです。
日本では中々お目にかかれないので、ひいき目でついついたくさん購入してしまいます。ナッツやオレンジジュースまで、さまざまな製品が認証を受けています。スーパーに置いてあるモニターではフェアトレードのPR動画が流れていることもあり、企業の社会性アピールにも使用されているように思います。花屋の看板にもマックスハベラーのフェアトレードラベルを見つけることができます。
こんなにもフェアトレード製品が身近にあるということは、消費者教育も日本よりはるかに進んでいて、エシカル志向もさぞかし高いんだろうなと羨望していたら、 初回の授業で早速それが裏切られました。(私が入学前からフェアトレードの勉強をしたいとメールで訴え続けていたので、先生がカリキュラムを少し調整してくれたようで、エシカル消費のお話をする時間を設けてくれました)
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教授:このクラスの中で、買い物をするときに環境や公平さに配慮して 買い物する人はいますか?
私:(きたきた! 持続可能なビジネスコースだし、7割はいくかな?)
(何人かが鼻で笑っています)
学生:ははは、何言ってるんですか、そんなもの気にしないで、安いものを優先して買うに決まってるじゃないですか。
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なんと、このクラス20人の生徒がいて手を挙げたのは私を含む2人だけでした。驚くことに”エシカルな消費”をすると答えたのはクラスの1割の生徒だけだったのです。
先生は私に肩をすくめてみせました。
日本で散々資料を読み重ね、フェアトレード普及の背景には「宗教観」や「歴史的背景」、「寄付文化」などさまざまな相違があると思い込んでいたので、これには驚きを隠せませんでした。
それでも自分で調査しなければどうしても気が済まなかったので、後日、街に出て一人で調査してみることにしました。
調査をする前に地元のフェアトレード専門店、「Wereldwinkel」というお店で、写真を撮らせていただきました。
やはり、授業の時と同じで、調査に協力してくれた大多数の人がエシカルを気にしていないようです。少しの期待を込めて、調査場所を“教会の前”にしていたのですが、それでもこの結果でした。
期待はずれで残念な気もしますが、よくよく考えると、宗教観が弱く、歴史的背景にも違いがある日本でも普及できるチャンスがなくなはない、ということにもなるので、少しホッとしたような気もしました。
これは私の個人的な見解ですか、これだけフェアトレード市場が成熟したオランダでも、消費者のエシカル志向は日本と大差がなく、消費者は安い商品を狙って買い物をしているので、日本の大学サークルや参加型イベントのような消費者教育による普及を期待するのは見当はずれではないでしょうか。同じ手法で発信していては、いつまで経ってもオランダのように身近に購入できる環境など整わないでしょう。
と言っても、ここでひとつ疑問が浮かびます。
私の調査でほとんどの人が「買い物でエシカルは気にしていない」という結果が出ていながら、なぜここまでオランダのフェアトレード市場が拡大し、街の95%がフェアトレードタウンに認定されるようになったのでしょうか。
このテーマは次回以降の記事にとっておこうと思いますが、もうお分かりになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは本日の記事はここまでとさせていただきます。また、面白い情報がありましたら紹介していこうと思いますので、お楽しみに!
現在私は、日本でフェアトレード製品を普及させるという自身の夢を実現させるために、オランダのサクシオン大学で持続可能な国際ビジネスを勉強しています。これから1年間、月に1度の頻度で、ヨーロッパのフェアトレードのリアルな情報を現地から読者の皆さまに発信していきます! どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の留学するここオランダは、有名な国際フェアトレード認証ラベル(マックスハベラー)が誕生した土地で、現在は95%もの都市がフェアトレードタウンに認定されています。私の大学があるここデーフェンターも2014年にフェアトレードタウンに認定されており、フェアトレードがとても身近なものだと感じることができます。街のスーパーマーケットでは当たり前にフェアトレード製品が見られるので、買い物に行くたびに「こんなものまでフェアトレードされてるんだ」という驚きと感動でいっぱいです。
バナナはもちろんのこと……
オレンジジュースまで!
日本では中々お目にかかれないので、ひいき目でついついたくさん購入してしまいます。ナッツやオレンジジュースまで、さまざまな製品が認証を受けています。スーパーに置いてあるモニターではフェアトレードのPR動画が流れていることもあり、企業の社会性アピールにも使用されているように思います。花屋の看板にもマックスハベラーのフェアトレードラベルを見つけることができます。
こんなにもフェアトレード製品が身近にあるということは、消費者教育も日本よりはるかに進んでいて、エシカル志向もさぞかし高いんだろうなと羨望していたら、 初回の授業で早速それが裏切られました。(私が入学前からフェアトレードの勉強をしたいとメールで訴え続けていたので、先生がカリキュラムを少し調整してくれたようで、エシカル消費のお話をする時間を設けてくれました)
--------------------------------------
教授:このクラスの中で、買い物をするときに環境や公平さに配慮して 買い物する人はいますか?
私:(きたきた! 持続可能なビジネスコースだし、7割はいくかな?)
(何人かが鼻で笑っています)
学生:ははは、何言ってるんですか、そんなもの気にしないで、安いものを優先して買うに決まってるじゃないですか。
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なんと、このクラス20人の生徒がいて手を挙げたのは私を含む2人だけでした。驚くことに”エシカルな消費”をすると答えたのはクラスの1割の生徒だけだったのです。
先生は私に肩をすくめてみせました。
日本で散々資料を読み重ね、フェアトレード普及の背景には「宗教観」や「歴史的背景」、「寄付文化」などさまざまな相違があると思い込んでいたので、これには驚きを隠せませんでした。
それでも自分で調査しなければどうしても気が済まなかったので、後日、街に出て一人で調査してみることにしました。
調査をする前に地元のフェアトレード専門店、「Wereldwinkel」というお店で、写真を撮らせていただきました。
「買い物するときにあえてエシカルな消費を選んで買いますか?」と書かれたボードを手に、街行く人に一人ずつシールを貼っていってもらいました。
(この様子はYoutubeでも紹介しているので、興味のある方はご覧ください)
気になる結果は……
エシカルな消費を選んでいる人は3人。場合による人が2人。
13人もの人は、エシカルな消費を選んでいないという結果に!
(調査母数が少なくてすみません。雨が降ってきて途中で切り上げたためです)
やはり、授業の時と同じで、調査に協力してくれた大多数の人がエシカルを気にしていないようです。少しの期待を込めて、調査場所を“教会の前”にしていたのですが、それでもこの結果でした。
期待はずれで残念な気もしますが、よくよく考えると、宗教観が弱く、歴史的背景にも違いがある日本でも普及できるチャンスがなくなはない、ということにもなるので、少しホッとしたような気もしました。
これは私の個人的な見解ですか、これだけフェアトレード市場が成熟したオランダでも、消費者のエシカル志向は日本と大差がなく、消費者は安い商品を狙って買い物をしているので、日本の大学サークルや参加型イベントのような消費者教育による普及を期待するのは見当はずれではないでしょうか。同じ手法で発信していては、いつまで経ってもオランダのように身近に購入できる環境など整わないでしょう。
と言っても、ここでひとつ疑問が浮かびます。
私の調査でほとんどの人が「買い物でエシカルは気にしていない」という結果が出ていながら、なぜここまでオランダのフェアトレード市場が拡大し、街の95%がフェアトレードタウンに認定されるようになったのでしょうか。
このテーマは次回以降の記事にとっておこうと思いますが、もうお分かりになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは本日の記事はここまでとさせていただきます。また、面白い情報がありましたら紹介していこうと思いますので、お楽しみに!
桑原豊