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記事: バングラデシュからのご報告
女性を応援する研修プロジェクトの進捗とコロナ禍の近況

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バングラデシュからのご報告
女性を応援する研修プロジェクトの進捗とコロナ禍の近況

クラウドファンディング後の進捗状況


バングラデシュの女性たちの活躍を応援してフェアトレードの強化を図ることを目的に、ピープルツリーの母体NGOグローバル・ヴィレッジを通して、国際女性デーの3月8日より開始したクラウドファンディングは、おかげさまで当初目標の120万円を大きく上回る146万2,000円のご支援をいただきました。みなさまの温かいご支援に感謝します。

このクラウドファンディングは、世界的なパンデミックにより、働く場や時間が減少し、発注が減って、より一段と厳しい環境に置かれている生産者グループに、あらためて「フェアトレード」を強化することで最大限の支援を行いたい。そのためにはフェアトレードの現場でもっと多くの女性がさらにリーダーシップを発揮してフェアトレードを牽引していってほしいとの願いをこめたプロジェクトです。

バングラデシュ衣料産業労働者連盟(NGWF)が実施した女性のリーダーシップ研修(2019年)の様子 バングラデシュ衣料産業労働者連盟(NGWF)が実施した女性のリーダーシップ研修(2019年)の様子

 

バングラデシュでは、フェアトレードの手工芸品などの生産に携わる職人12万人のうちの8割が女性ですが、管理職レベルで能力を発揮している女性はまだ多くありません。そのため、バングラデシュのフェアトレード団体ネットワーク「ECOTA」と現地の開発NGO「クリスチャン・エイド」の協力のもと、半年かけて女性のエンパワメントを目指す研修プログラムを企画しました。

2021年内に50名の教育係を育成し、性差別のない職場、女性がリーダーシップを発揮できる環境づくりを開始し、その後、研修マニュアルやノウハウを他のフェアトレード団体やフェアトレードでない衣料品工場などにも活用するよう働きかけることで、広くバングラデシュでものづくりに関わる女性たちの能力と地位を向上させることを目指す計画でした。

しかし、バングラデシュでは4月中旬からコロナウイルス感染の再拡大によってロックダウンが敷かれ経済・社会活動が制約を受けており、状況が改善するまでプロジェクトの着手を見合わせざるを得なくなりました。


研修実施団体ジュート・ワークスの女性生産者たち(コロナ以前の風景。) 研修実施団体ジュート・ワークスの女性生産者たち(コロナ以前の風景。)

 

5月中旬、感染者数の減少によりロックダウン解除の可能性も見えたことから、ECOTAはプロジェクト・コーディネーターを任命し、プロジェクト実施に必要な「認定NGO」としての申請に向けた手続きを開始しましたが、デルタ株の感染増加によってロックダウンが延長され、スタッフが事務所に出勤することもままならず、行政の業務も制限されるなど、ここでまた準備をいったん中断せざるを得ないことになりました。

ECOTA理事長のスワパン・ダスさんは、実施時期を延期してもプロジェクトを実現させたいという強い意志を持っており、クリスチャン・エイドからも引き続きプロジェクト実施に協力する旨の確認を得ています。ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジとしても、実施延期は当初の見込みより長引くかもしれませんが、必ずこのプロジェクトを実現するよう、これからも各関係者と密にコミュニケーションを取りながら見守り協力していこうという思いを強くしています。

詳細のプロジェクト中間報告は、グローバル・ヴィレッジのニュース・メディア「FAIR TRADE STYLE」でお伝えしています。

「FAIR TRADE STYLE」はこちら >



研修実施団体プロクリティの女性生産者(コロナ以前の生産風景。) 研修実施団体プロクリティの女性生産者(コロナ以前の生産風景。)

 

バングラデシュの現在-コロナ禍の状況


3月中旬からコロナウイルスの感染が急拡大し、4月中旬から通常の経済活動や交通機関がストップするロックダウンが敷かれました。5月末にいったんは収束に向かったかと思われた状況はデルタ株の感染増加によって再び悪化し、7月上旬以降、毎日1万人を超える人が感染し200人あまりが亡くなるなか、7月1日からロックダウンがさらに強化され、規制違反の取り締まりで警察に収監されたり、罰金を科される人も出てきました。

バングラデシュ政府は、「イード・アル・アドハ(イスラムの祝日)」の期間、7月15日から22日までロックダウンを緩和し、電車は乗車率50%までの乗客で運行、商店の営業も認めるなど、感染を防止しながら経済や社会活動を再開する一方で、その後7月23日から8月5日まで、2週間の厳しい完全ロックダウンを敷く措置を行っています。政府機関、非政府機関のオフィス、工場、交通機関を含むすべてが閉鎖され、誰も家から出られないような状況です。

 width=バングラデシュ一日あたりの感染者数 出典:https://www.worldometers.info/coronavirus/country/bangladesh/

 

ピープルツリー生産者の状況


ピープルツリーの生産者も、7月23日からの厳しいロックダウンにより、家での在宅業務を除く、ほぼすべての稼働の停止を余儀なくされました。各生産者より7月~8月3日までに入った状況の連絡をご紹介します。

✉‥∴‥∵‥7月7日、ECOTA理事長/プロクリティ代表スワパンさんからのメール

この状況をどう説明すればよいのか言葉が見つかりません。

4月から延長されてきたロックダウンは、7月1日からさらに厳しくなりました。
規制違反の取り締まりで警察に収監されたり、罰金を科される人も出ています。
デルタ株が国中に広がり、感染者数、死者数とも毎日最多を更新しています。

厳しい規制は感染を抑えるためにはよいことかもしれませんが、一方で貧しい人びとの暮らしへの打撃は深刻です。モンスーンのシーズンである今は、ただでさえ日雇いなどの低賃金の労働者にとって収入の少ない時期なのに、この規制でますます仕事が減るでしょう。彼らがどうやって家族を食べさせていけるのかわかりません。‥∴‥∵‥

研修実施団体「アーティザン・ハット」にて、コロナ禍ロックダウン以前の生産風景。 研修実施団体「アーティザン・ハット」にて、コロナ禍ロックダウン以前の生産風景。

 

✉‥∴‥∵‥7月18日、サイドプール・エンタープライズ マスムさんからのメール

コロナウイルスの感染がバングラデシュ国内で急増していることはご存じの通りです。

ウイルスの蔓延を抑制するため、政府はまず2021年4月5日から11日までの1週間、ロックダウンを宣言し、それは7月14日まで延長されました。このロックダウン期間中は、産業界や工場は衛生規定に従った独自の管理のもとで操業することが許されていました。

しかし、その後、政府は7月15日から22日まで、「イード(イスラムの祝日)」のお祭りがあることを考慮して、感染防止対策をとりながらも交通機関や市場を開放し、その後7月23日から8月5日まで、2週間の完全ロックダウンを宣言しました。今回は、工場や交通機関を含むすべてが閉鎖されます。 この期間は外出禁止令のようなもので、非常に緊急性の高い場合を除き、誰も家から出られなくなります。

私たちは生産を継続するために、7月20日まで作業を行い、7月20日から24日までをイード休暇とし、その前に生産者にロックダウン中にも自宅で作業できるように、最大限、原材料を支給しておくことにします。また、地域ごとの品質管理チームが電話やビデオ通話等で生産者にフォローアップを行います。主要スタッフは自宅で仕事をし、他のスタッフは緊急時に備えて待機します。通常のメールアドレスにメールをいただければ連絡を取れますし、携帯電話も繋がります。

ロックダウン状況下で仕事をするのは、本当に大変です。‥∴‥∵‥

 

7月25日には、バングラデシュ・デヴテック・アソシエイツ、アーティザン・ハット、ジュート・ワークス、再度サイドプール・エンタープライズからも、それぞれ厳しい外出禁止措置の中、オフィスや施設を閉鎖し、自宅から業務を行っている旨の連絡が入ってきました。

 

✉‥∴‥∵‥7月28日、タナパラ・スワローズ サントさんからのメール

我が国の状況は良くありません。

感染症と死亡者数は記録的なレベルで増加し、ここ数日毎日のように新記録が更新されています。政府は、7月23日から8月5日までの間、感染者や死亡者の数を減らすための包括的なロックダウンを実施していますが、感染や死亡の割合は増加傾向にあります。

予防接種活動が再開され、多くの一般市民が地元の病院に行って、公式アプリで登録してワクチン接種を受けています。タナパラ村でもスワローズが無料の予防接種の登録を手伝っています。政府発表によると、8月7日からはそれぞれの地域でIDカードを提示することで、予防接種を受けることができるようになるということです。

現在の第2波により、タナパラ村ではコロナ感染が拡大しています。この小さな村に約25人ものコロナ感染患者がおり、毎日2~3人が感染しています。これまでに1名が亡くなりました。私たちのスタッフの1人もコロナに感染し、約1ヶ月間病院での治療を受けています。

このような状況の中、私たちは一時的にオフィスでの活動停止を余技なくされています。

政府はすべての産業施設を閉鎖しており、私たちのオフィス活動も工芸品の生産も停止しています。デザインや縫製の仕事は、ロックダウンが緩和または解除されてから始めることになります。

このような困難な時期にも私たちに支援してくださるみなさまに感謝します。‥∴‥∵‥

タナパラ・スワローズの工房にて。女性たちが着ているのは、感染リスクを低減するためにつくったユニフォーム 研修実施団体タナパラ・スワローズの工房にて。感染リスクを低減するためにつくったユニフォームを着て。
 

その後、ジュート・ワークス、アーティザン・ハット、タナパラ・スワローズより、8月1日から輸出産業への規制が緩和され、急遽、一部の操業を開始した旨の連絡が入りました。

交通規制はまだ敷かれているようですし、感染者数が増加しているなかでの措置は懸念点もありますが、生産者たちはフェアトレード商品を完成し発送する努力を最大限に続けています。


ピープルツリーの各部署でも、生産者の思いのこもったフェアトレード商品を、無事にみなさまのお手元に届けられるように、日々工夫を凝らし、鋭意努力中です。

ぜひフェアトレードのお買いものでのご支援をどうぞよろしくお願いします。

フェアトレードのお買いものはこちら >






























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アーティザン・ハットの
スカート
タナパラ・スワローズの
ドレス
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プロクリティのルームシューズ バングラデシュ・デヴテック・アソシエイツのプルオーバー
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ジュート・ワークスのトートバッグ
クムディニ・ハンディクラフトのスカート

 

資金の状況と今後の予定


クラウドファンディングでみなさまからお寄せいただいた支援金は、「READYFOR」の手数料を除いた123万6,852円が、6月中旬にグローバル・ヴィレッジの口座に届いています。

この資金は、ECOTAが認定NGOとなって海外からの資金を受け取れるようになり、研修プロジェクトのスケジュールをあらためて練り直した時点で、必要な金額を順次送金することとします。

クラウドファンディングにご協力いただいた皆さまには、引き続きREADYFORの「新着情報」やグローバル・ヴィレッジの「FAIR TRADE STYLE」などで進捗をお伝えいたしますので、これからもプロジェクトを見守っていただけるようお願いいたします。

人と人とがつながり合い、ともに希望をもって歩みつづければ、パンデミックやさまざま困難も、きっと乗り越えられるはず。
今年30周年を迎えるピープルツリーが、信じつづけていることです。

これからもフェアトレードを通じたご支援ご協力をどうぞよろしくお願いします。

‥∴‥ひとりひとりが変化の担い手になることで 世界をもっといい場所に変えていこう‥∴‥

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