コンテンツへスキップ

記事: ファッションブランドと消費者が負うべき責任

ニュース

ファッションブランドと消費者が負うべき責任

バングラデシュの首都ダッカで、縫製工場や商店が入居する8階建てのビルが倒壊。少なくとも140人の死亡が確認され、負傷者は1000人を超えた。





  • 倒壊した縫製工場に生産を依頼していたブランドは、大切な家族や一家の大黒柱を失った遺族や負傷者、とだえてしまう収入に対してただちに賠償金を支払うべきである。


  • バングラデシュ国内に生産拠点を持つブランドは、バングラデシュにおける火災と建物の安全協定(the Bangladesh Fire and Building Safety Agreement)に署名をしなくてはならない






ビル倒壊が起こる前日から建物の壁に大きなひび割れができていたことが確認されていたにも関わらず、作業員に仕事を続けさせた工場経営者は許されるべきではありません。しかし、この事件に対して本当の責任を負うべきなのは、従業員の安全や健康被害へのリスクを軽視し低賃金で仕事を強いているのは、一体誰なのでしょうか?




いくつかの資料によると、バングラデシュ国内の縫製工場で働く人びとの過半数が、火災避難設備がない、もしくは構造の安全性に問題がある建物で働かされているとの報告があがっています。



ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジとバングラデシュ労働組合との付き合いは18年を超え、縫製工場の労働者が多く暮らすスラムにも何度も足を運んでいますが、彼女たちはいつも私にこう言うのです ― 「私たちがつくった服を買う人たちに私たちの苦労を伝えてください」「あなたの国の消費者は、こんな低賃金での重労働を私たちが課されるべきだと思っているのでしょうか? そして私たちが最低レベルの暮らしの中で空腹にもだえていることを知っているのでしょうか?」



200万人にもおよぶ衣料品産業の労働者は、そのほとんどが若い女性たちで、国の輸出の80%を支えています。しかし、彼女たちが得られる収入は最低賃金のひと月約3,800円にすぎず、これはスラムでの暮らしに必要な生活費の60%しかカバーできていません。この月収3800円ですら、何年にもわたり労働組合やNGOからプレッシャーをかけ続けた結果ようやく得られた成果で、2010年以前の最低賃金はその半分ぐらいしかありませんでした。



ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジは、War on Want (貧困問題の解決を目指すイギリスのNGO)とバングラデシュ衣料品産業労働者組合連合と一緒に、衣料品ブランドが「火災と建物の安全協定」に署名するよう求める働きかけをしてきました。ダッカ市内の全ての縫製工場の安全基準を満たすために必要なコストは、洋服1着あたり10円強の上乗せを5年間続けるだけでまかなえる、と言われています。



縫製工場の労働者たちは、いつも私にこう言うのです。祖父母に子どもを預けて出稼ぎに来るより、村に戻って子どもたちと一緒にいたい。衣料品作りの仕事で収入を得られる場が村にありさえすれば。「フェアトレードの仕組みが私と村の女性たちの力になってくれることを切に願っています」と。



私たちピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジは、バングラデシュをはじめとする数カ国で、農村に暮らす何百人もの人びとに仕事の機会をつくり出しています。フェアトレードによって、手織り、手刺繍、縫製の仕事に対して、公正な賃金を保障しているのです。
消費者はブランドに対して、ファッションにかかる本当のコストを負担する責任を負うよう求めることができます。消費者には選ぶ権利があります。その選択によって、つくる人を搾取するか力になるかを決めることができるのです。




朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0424/TKY201304240459.html

イギリス・ガーディアン紙
http://www.guardian.co.uk/world/2013/apr/24/bangladesh-building-collapse-shops-west

その他の記事