今こそフェアトレードから改善のヒントを! バングラデシュ衣料品工場の崩落事故を受けて
4月24日にバングラデシュの首都ダッカ近郊で起こった、衣料品工場が入る建物の崩落事故。日を追うごとに報道される被災者の数が増え、5月2日現在、400人以上の死者、2,500人以上の負傷者、さらに行方不明者は140にのぼっています※。
今回の事故を受け、バングラデシュ国内の他の工場では、労働者による安全性を求める大規模な抗議デモが行われており、日系企業の工場へも投石や抗議が行われるなどの影響が出ています。企業へのプレッシャーが高まり、製品の生産過程の透明性や労働環境改善への取り組みが求められる中、世界フェアトレード機関(WFTO)は、サフィアをはじめとする加盟フェアトレード企業の創業者からのコメントを発表しました。
左からクリスティン・ゲント、サフィア・ミニー、キャリー・ソマーズ
サフィア・ミニー (ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表 ― 日本・イギリス)
バングラデシュ労働組合との付き合いは18年を超え、縫製工場の労働者が多く暮らすスラムにも何度も足を運んでいますが、彼女たちはいつも私にこう言うのです ― 「私たちがつくった服を買う人たちに私たちの苦労を伝えてください」「あなたの国の消費者は、こんな低賃金での重労働を私たちが課されるべきだと思っているのでしょうか?そして私たちが最低レベルの暮らしの中で空腹にもだえていることを知っているのでしょうか?」200万人にもおよぶ衣料品産業の労働者は、そのほとんどが若い女性たちで、国の輸出の80%を支えています。しかし、彼女たちが得られる収入は最低賃金のひと月約3,800円にすぎません。私たちは長年にわたり多数のステークホルダーや団体がこの労働問題と向き合うよう求めてきました。まさにこれこそがフェアトレードが実践していることです。衣料品産業にフェアトレードから多くのことを学んでほしいと切に願っています」
キャリー・ソマーズ (パチャクティ創立者/最高経営責任者 ― イギリス)
「この悲劇は、チープなファスト・ファッションとフェアトレード・ファッションの労働基準の違いを完璧なまでに見せつけました。使い捨てファッションは使い捨ての命と同じではありません。ブランドにはより安全な労働条件を確保する責任があるのです。パチャクティはつい先日フェアトレードの監査を受けましたが、監査人は生産者の労働条件を「最優良」と評価しました。私たちのような小さな企業でさえすべてのサプライヤーを包括的にモニタリングできるのですから、大手ファッション・ブランドにできないはずがありません」
クリスティーヌ・ゲント (フェアリーカバード 取締役 ― イギリス)
「フェアトレードにコミットし、サプライチェーンを明らかにする ― 生産者への労働環境や条件が満たされているかを確かにする― ことは、交渉でなし得ている訳ではありません。フェアトレードとは、社会的・環境的に持続可能な基盤をつくることであり、単なる利益追求ではないのです。わたしたちはバングラデシュの農村エリアでつくられた手織りの寝具類を輸入し、首都ダッカから離れた地域で雇用の機会を持続的につくりだしています」
WFTOとその加盟団体は、フェアトレードの指針を守りながら透明性を保ち、生産者との関係を積極的に推進しています。バングラデシュをはじめとする数々の国で、農村に暮らす何百人もの人びとに仕事の機会をつくり出し、フェアトレードによって、手織り、手刺繍、縫製の仕事に対して、公正な賃金を保障しています。
繰り返しになりますが、消費者はブランドに対して、ファッションにかかる本当のコストを負担する責任を負うよう求めることができます。消費者には選ぶ権利があります。その選択によって、つくる人を搾取するか力になるかを決めることができるのです。
また、先日もお伝えしたように、ピープル・ツリーとグローバル・ヴィレッジは大手企業に対し状況を改善するよう求める署名活動への参加を呼びかけています。5月2日現在、約7万筆の署名が集まっています。同時にフェアトレード月間である今月、「世界フェアトレード・デー」キャンペーンを通じ、フェアトレードの意義を広くアピールしていきます。
署名の発起人は衣料品産業の労働環境を改善するよう求める活動を私たちと長年一緒に行ってきた「バングラデシュ衣料品産業労働者組合連合(NGWF)」のアミヌル・ハク・アミン代表。倒壊した工場に生産を依頼していたブランドに対し事故の被害者とその遺族への賠償金の支払い、および、火災と建物の安全協定への署名と実践を要請しています。
*署名サイトはこちら(英語)
アミンさんは長年バングラデシュの衣料品産業労働者の生活や労働環境の改善のため、精力的に活動しています。写真は昨年、バングラデシュ郊外で衣料品工場の火災事故で亡くなった120名の犠牲者とその家族に対しての補償を求める抗議活動の様子。
フェアトレード月間の5月、お買いものと、つくる人とのつながりを、ぜひ考えてみてくださいね。
※ 参考記事:
- “Bangladeshi garment factory death toll rises as owner arrested on border”
(英Guardian 紙2013年5月1日配信)
- バングラデシュでデモ続く、ビル崩壊で死者400人「工場所有者を絞首刑に」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130502-00000001-jij_afp-int
(AFP=時事2013年5月2日配信)
今回の事故を受け、バングラデシュ国内の他の工場では、労働者による安全性を求める大規模な抗議デモが行われており、日系企業の工場へも投石や抗議が行われるなどの影響が出ています。企業へのプレッシャーが高まり、製品の生産過程の透明性や労働環境改善への取り組みが求められる中、世界フェアトレード機関(WFTO)は、サフィアをはじめとする加盟フェアトレード企業の創業者からのコメントを発表しました。
左からクリスティン・ゲント、サフィア・ミニー、キャリー・ソマーズ
サフィア・ミニー (ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表 ― 日本・イギリス)
バングラデシュ労働組合との付き合いは18年を超え、縫製工場の労働者が多く暮らすスラムにも何度も足を運んでいますが、彼女たちはいつも私にこう言うのです ― 「私たちがつくった服を買う人たちに私たちの苦労を伝えてください」「あなたの国の消費者は、こんな低賃金での重労働を私たちが課されるべきだと思っているのでしょうか?そして私たちが最低レベルの暮らしの中で空腹にもだえていることを知っているのでしょうか?」200万人にもおよぶ衣料品産業の労働者は、そのほとんどが若い女性たちで、国の輸出の80%を支えています。しかし、彼女たちが得られる収入は最低賃金のひと月約3,800円にすぎません。私たちは長年にわたり多数のステークホルダーや団体がこの労働問題と向き合うよう求めてきました。まさにこれこそがフェアトレードが実践していることです。衣料品産業にフェアトレードから多くのことを学んでほしいと切に願っています」
キャリー・ソマーズ (パチャクティ創立者/最高経営責任者 ― イギリス)
「この悲劇は、チープなファスト・ファッションとフェアトレード・ファッションの労働基準の違いを完璧なまでに見せつけました。使い捨てファッションは使い捨ての命と同じではありません。ブランドにはより安全な労働条件を確保する責任があるのです。パチャクティはつい先日フェアトレードの監査を受けましたが、監査人は生産者の労働条件を「最優良」と評価しました。私たちのような小さな企業でさえすべてのサプライヤーを包括的にモニタリングできるのですから、大手ファッション・ブランドにできないはずがありません」
クリスティーヌ・ゲント (フェアリーカバード 取締役 ― イギリス)
「フェアトレードにコミットし、サプライチェーンを明らかにする ― 生産者への労働環境や条件が満たされているかを確かにする― ことは、交渉でなし得ている訳ではありません。フェアトレードとは、社会的・環境的に持続可能な基盤をつくることであり、単なる利益追求ではないのです。わたしたちはバングラデシュの農村エリアでつくられた手織りの寝具類を輸入し、首都ダッカから離れた地域で雇用の機会を持続的につくりだしています」
WFTOとその加盟団体は、フェアトレードの指針を守りながら透明性を保ち、生産者との関係を積極的に推進しています。バングラデシュをはじめとする数々の国で、農村に暮らす何百人もの人びとに仕事の機会をつくり出し、フェアトレードによって、手織り、手刺繍、縫製の仕事に対して、公正な賃金を保障しています。
繰り返しになりますが、消費者はブランドに対して、ファッションにかかる本当のコストを負担する責任を負うよう求めることができます。消費者には選ぶ権利があります。その選択によって、つくる人を搾取するか力になるかを決めることができるのです。
また、先日もお伝えしたように、ピープル・ツリーとグローバル・ヴィレッジは大手企業に対し状況を改善するよう求める署名活動への参加を呼びかけています。5月2日現在、約7万筆の署名が集まっています。同時にフェアトレード月間である今月、「世界フェアトレード・デー」キャンペーンを通じ、フェアトレードの意義を広くアピールしていきます。
署名の発起人は衣料品産業の労働環境を改善するよう求める活動を私たちと長年一緒に行ってきた「バングラデシュ衣料品産業労働者組合連合(NGWF)」のアミヌル・ハク・アミン代表。倒壊した工場に生産を依頼していたブランドに対し事故の被害者とその遺族への賠償金の支払い、および、火災と建物の安全協定への署名と実践を要請しています。
*署名サイトはこちら(英語)
アミンさんは長年バングラデシュの衣料品産業労働者の生活や労働環境の改善のため、精力的に活動しています。写真は昨年、バングラデシュ郊外で衣料品工場の火災事故で亡くなった120名の犠牲者とその家族に対しての補償を求める抗議活動の様子。
フェアトレード月間の5月、お買いものと、つくる人とのつながりを、ぜひ考えてみてくださいね。
※ 参考記事:
- “Bangladeshi garment factory death toll rises as owner arrested on border”
(英Guardian 紙2013年5月1日配信)
- バングラデシュでデモ続く、ビル崩壊で死者400人「工場所有者を絞首刑に」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130502-00000001-jij_afp-int
(AFP=時事2013年5月2日配信)