WFTO サミットレポート第2弾
フェアトレード・タウン

日本フェアトレード・フォーラム代表理事の胤森です。
2016年10月19日～21日にタイで行われた「アジア・フェアトレード・サミット」。レポート第2弾は、「フェアトレード・タウン運動」についての分科会の報告です。

フェアトレード・タウン運動とは、まちの行政、企業・商店、市民団体などが一体となって「まちぐるみ」でフェアトレードの輪を広げること。2000年にイギリスで誕生して以来、今では世界中に広がり、フェアトレードタウンの数も1800以上に達しています。日本では、2011年に日本初・アジア初のフェアトレードタウンとなった熊本市に次いで、名古屋市と逗子市（神奈川県）が認定され3都市となりました。今回のサミットでは、アジア各国で盛り上がるフェアトレード・タウン運動に注目し、各地での経験を共有して運動をさらに盛り上げようと分科会が企画されたのです。

分科会は、日本フェアトレード・フォーラム（FTFJ）理事でもある東京経済大学の渡辺龍也教授がファシリテーターとなり、韓国、香港、インドから各国のフェアトレード・タウン運動の報告が行われました。

韓国は、市民運動出身の市長がフェアトレード・シティ宣言をして、市庁舎の中にフェアトレード・ショップがオープンするなど先進的。香港では市民の関心を高めるための啓発活動が盛んで、フェアトレードの認知率は60％を超えているそう（日本は29％）。
インドでも、環境や人権、食育の活動と連携して盛り上がっています。フェアトレード・ビジネスの起業家であるアンジャリさんは、来年11月にデリーでWFTO（世界フェアトレード機関）の国際会議が開かれるのに合わせて自分の活動拠点であるポンディチェリをインド初のフェアトレード・タウンにしたいと情熱的に語りました。

日本でも、今年国内3番目のフェアトレード・タウンとなった逗子市に続こうと、岐阜県垂井町、静岡県浜松市、北海道札幌市などでフェアトレード推進団体が結成され、フェアトレードのイベントを開催したりフェアトレード商品が買える店のマップを作成するなど各地で活動が盛り上がっています。

世界のあちこちに同じ想いを持つ仲間がいると励まされるのが、国際会議の素晴らしさ！

（写真左から）渡辺龍也氏（東京経済大学教授／日本フェアトレード・フォーラム理事）、アンジャリ・シアヴィナ氏（マンダラ・アパレルズ代表）、アントニー・チウ氏（香港フェアトレード・パワー　ディレクター）、リー・ミーヨン氏（フェアトレード・コリア　CEO）

香港のフェアトレード普及状況について報告するアントニー・チウ氏

ファシリテーターの渡辺龍也氏が、フェアトレード・タウンの概要を説明

会場の参加者からも積極的な質問や意見が。

インドでのフェアトレード啓発活動の盛り上がりを報告するアンジャリ・シアヴィナ氏

 

タイの国際会議から2か月後の12月上旬、東京・自由が丘で日本フェアトレード・フォーラム（FTFJ）の理事会が開かれました。

FTFJは、日本でフェアトレードの普及に携わる団体や個人のネットワークです。理事・監事12名のうち6名が、熊本、名古屋、逗子、札幌、浜松、垂井のフェアトレード推進団体の代表者で、それぞれの地域でフェアトレード・タウン運動をはじめとするフェアトレード推進の活動を担っています。

月1回の理事会は通常スカイプで行っていますが、年1・2回は顔を合わせてじっくり話し合おうと、この日は8名の理事が全国から集まりました。各地からの活動報告のほか、FTFJとして取り組む課題として、2020年の東京オリンピックに向けたフェアトレード調達の働きかけや、国際的なフェアトレード認証制度を補完する日本での認証制度の確立などさまざまなトピックスで意見を交換しました。

グローバルでもローカルでも、フェアトレードを広めたいというひとつの共通の目標に向かって活動する仲間がいます。それぞれが自分の地域でベストを尽くしながら、FTFJやWFTOのようなネットワークでお互いに連携していくことで、フェアトレードの普及がどんどん進んでいくという希望を感じることができた会議でした。

会合に集まったFTFJ理事たち（敬称略、写真後列左から）：小吹岳志（大阪）、大野敦（京都）、下澤嶽（浜松）、渡辺龍也（東京）、（前列左から）佐々木慧（富山）、胤森なお子（東京）、原田さとみ（名古屋）、磯野昌子（逗子）