現役大学生、欧州から日本のフェアトレードを考える vol.2
「その啓蒙活動、まだ続けますか? Part2」
こんにちは、オランダ留学中の桑原です。
前回の記事では“なぜオランダでの認知度が高いのか”という秘密に迫るべく、街頭アンケートを行いました。ところがオランダでも、ほとんどの人がフェアトレード商品を意識して購入しているわけではないということが明らかになり、現地に来ないとわからないことが多いなと実感した次第でした。
さて、前回の続きとなりますが、フェアトレードをあえて選ぶ人が少ない中で、どのようにフェアトレード商品がスーパーマーケットに受け入れられるようになったのか、私がオランダで学んだことを紹介していきたいと思います。
前回の記事で紹介したアンケートの後、私の通うサクシオン大学の教授に話を聞いてみたのですが、フェアトレード商品の普及の背景には投資家とNGOの役割が大きく関係しており、消費者の影響ではないのだそうです。
というのもヨーロッパでは人権や環境、社会性に配慮した経営が企業の信頼度を表す指標の一つと認知されており、投資家が投資先を選定する際の重要なポイント(ESG投資)となっているためです。この考えは日本でも少しずつ認知されてきていますよね。
また、NGOは企業にも政府にもできない社会性を追求する役割を担いますが、このNGOからポジティブな評価を受けている企業ほど、信頼度が高いと評価されます。反対にNGOから警告や不買運動を起こされているような企業は当然のごとく信頼を失い、投資家からも避けられてしまいます。
ビジネスが国境を越えるようになり、情報入手が容易になるにつれて、サプライチェーンのすべての段階での透明性が求められるようになりました。
例えばスマートフォンであれば、原材料である資源の採掘段階で求められるものは、そこに住む民族や動物への配慮がされているか。組み立ての段階では、労働者の人権に十分に配慮がされているかが注目されます。
フェアトレード製品も、原材料である農産品のサプライチェーンの透明性を保証してますよね。
小売店からの立場で投資家の興味とマーケティング効果を追求すると、エシカル商品の店舗での露出(販売)が最適な選択になります。
言い換えると、小売店は会社の経営力を投資家に示すツールとしてエシカル商品を利用していると言えます。もちろん小売店も利益を上げて経営を続けていかなければいけないので、時代の変化に応えるように、フェアトレード商品が大衆向けに紹介されていったことがわかります。
ちなみにフェアトレードというと海外の先進国が強いイメージがありますが、フェアトレード商品が一般大衆向けにオランダのスーパーマーケット等に登場し始めたのは20年ほど前のことだそうで、フェアトレードが紹介され始めた時期的には日本とそれほど大差ないそうです。
ここから先はさらにリサーチを重ねる必要がありますが、フェアトレードの普及の背景には、「投資家の注意をひく」ということが主な要因のようです。
一方で日本のフェアトレード普及活動を見てみると、消費者に寄り添い、猫も杓子もプロモーション活動をしているような気がします。「実際に買う人」という限定された人のみを対象にしたニッチ層を狙うのであればこれは機能するでしょうが、広く世に普及させる際には、また別の手法をとる必要がありそうです。
例えば日本の大学はどこも文化祭でのフェアトレード製品販売に力を入れていますが、オーストラリアにある大学では署名活動を通して学内の購買やカフェにフェアトレード製品を並べさせる活動をしているそうです。オーストラリアの大学の方がシステムづくりという点で持続的かつ普及に向いた活動ができていると言えます。
また、日本の投資文化を考えると、ヨーロッパと違って「間接金融制度」が主であり、直接金融の割合が低いことも原因にありそうです。
現在はオランダ人のクラスメートと一緒に、「5年以内に日本でフェアトレードを普及させるには」という題名でリサーチ&レポートをしています。次回の更新ではそちらのお話をしていきたいと思います。
それでは今回はこの辺で失礼します。最後まで読んでいただきありがとうございました。
前回の記事では“なぜオランダでの認知度が高いのか”という秘密に迫るべく、街頭アンケートを行いました。ところがオランダでも、ほとんどの人がフェアトレード商品を意識して購入しているわけではないということが明らかになり、現地に来ないとわからないことが多いなと実感した次第でした。
さて、前回の続きとなりますが、フェアトレードをあえて選ぶ人が少ない中で、どのようにフェアトレード商品がスーパーマーケットに受け入れられるようになったのか、私がオランダで学んだことを紹介していきたいと思います。
前回の記事で紹介したアンケートの後、私の通うサクシオン大学の教授に話を聞いてみたのですが、フェアトレード商品の普及の背景には投資家とNGOの役割が大きく関係しており、消費者の影響ではないのだそうです。
というのもヨーロッパでは人権や環境、社会性に配慮した経営が企業の信頼度を表す指標の一つと認知されており、投資家が投資先を選定する際の重要なポイント(ESG投資)となっているためです。この考えは日本でも少しずつ認知されてきていますよね。
また、NGOは企業にも政府にもできない社会性を追求する役割を担いますが、このNGOからポジティブな評価を受けている企業ほど、信頼度が高いと評価されます。反対にNGOから警告や不買運動を起こされているような企業は当然のごとく信頼を失い、投資家からも避けられてしまいます。
ビジネスが国境を越えるようになり、情報入手が容易になるにつれて、サプライチェーンのすべての段階での透明性が求められるようになりました。
例えばスマートフォンであれば、原材料である資源の採掘段階で求められるものは、そこに住む民族や動物への配慮がされているか。組み立ての段階では、労働者の人権に十分に配慮がされているかが注目されます。
フェアトレード製品も、原材料である農産品のサプライチェーンの透明性を保証してますよね。
小売店からの立場で投資家の興味とマーケティング効果を追求すると、エシカル商品の店舗での露出(販売)が最適な選択になります。
言い換えると、小売店は会社の経営力を投資家に示すツールとしてエシカル商品を利用していると言えます。もちろん小売店も利益を上げて経営を続けていかなければいけないので、時代の変化に応えるように、フェアトレード商品が大衆向けに紹介されていったことがわかります。
ちなみにフェアトレードというと海外の先進国が強いイメージがありますが、フェアトレード商品が一般大衆向けにオランダのスーパーマーケット等に登場し始めたのは20年ほど前のことだそうで、フェアトレードが紹介され始めた時期的には日本とそれほど大差ないそうです。
ここから先はさらにリサーチを重ねる必要がありますが、フェアトレードの普及の背景には、「投資家の注意をひく」ということが主な要因のようです。
一方で日本のフェアトレード普及活動を見てみると、消費者に寄り添い、猫も杓子もプロモーション活動をしているような気がします。「実際に買う人」という限定された人のみを対象にしたニッチ層を狙うのであればこれは機能するでしょうが、広く世に普及させる際には、また別の手法をとる必要がありそうです。
例えば日本の大学はどこも文化祭でのフェアトレード製品販売に力を入れていますが、オーストラリアにある大学では署名活動を通して学内の購買やカフェにフェアトレード製品を並べさせる活動をしているそうです。オーストラリアの大学の方がシステムづくりという点で持続的かつ普及に向いた活動ができていると言えます。
また、日本の投資文化を考えると、ヨーロッパと違って「間接金融制度」が主であり、直接金融の割合が低いことも原因にありそうです。
現在はオランダ人のクラスメートと一緒に、「5年以内に日本でフェアトレードを普及させるには」という題名でリサーチ&レポートをしています。次回の更新ではそちらのお話をしていきたいと思います。
それでは今回はこの辺で失礼します。最後まで読んでいただきありがとうございました。
桑原豊