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記事: 「国際フェアトレード憲章」
~「フェアトレードとは?」を説明する国際的な共通文書、リリース~

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「国際フェアトレード憲章」
~「フェアトレードとは?」を説明する国際的な共通文書、リリース~

日本でも二人にひとり以上は耳にしたことがある*1)という「フェアトレード」。言葉は広まってきたものの、その意味や意義まで知られているでしょうか?

本日9月25日、国際的なフェアトレードの二大ネットワークであるWFTO(世界フェアトレード機関)とFI(フェアトレード・インターナショナル)は共同で、「国際フェアトレード憲章」を発表しました。この文書は、3年前の今日、2015年9月25日に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するフェアトレードの価値観や活動の内容を解説したものです。

SDGsは貧困に終止符を打ち、地球を守り、すべての人が平和と豊かさを享受できる世界を目指し、2030年までに達成すべき目標を掲げています。しかし残念ながら、むしろ目標から後退している分野もあります。最新の国連報告書*2)は、飢餓がここ3年間の間に増加に転じ、世界の9人にひとりが栄養失調の状態にあるとしています。また、世界経済の規模が拡大する一方で、世界中で貧富の格差が1980年代から急速に広がっています。*3)

これらの問題に対して国際フェアトレード憲章は、貿易とビジネスのやり方の中心に公正さ、平等、持続可能な成長を据え、誰もが仕事を通じて人間らしい尊厳ある暮らしを営み力を存分に発揮できる世界を目指しています。

フェアトレードは、SDGsの17の目標のうち少なくとも8つ、広義ではすべての目標に貢献します

現在、フェアトレードを事業の柱とする事業者は世界で348団体あり、食品からファッションまで幅広い分野で活動しています。フェアトレードは、人と地球を利益の追求より重視し、労働者や農家、職人などの作り手を大切にするビジネスモデルで、地域から国内、国際レベルまで、協同組合や社会的企業、有機農法、連帯経済運動など多様な形で広がっています。

「格差が広がり貧困が深刻になっているのは、これまでのビジネスが利益をすべてに優先させてきた結果です。フェアトレードは、もっとよいやり方が可能であることを示しています。この新しい憲章は、フェアトレードのビジョンと経験を使って、ビジネスと貿易のやり方を変える一助となるものです」-WFTO事務局長 エリンチ・サーハン

「フェアトレードは、社会に生じた格差を埋めるために使えるし、使うべきツールです。フェアトレード運動が先導してきたやり方は、世界経済を変革する可能性を持っています。国際フェアトレード憲章は、後に続く人たちの参照資料となりインスピレーションを与えてくれるでしょう」-FI国際CEO ダリオ・ソト・アブリル

世界に広がるフェアトレード運動は、誰も置き去りにしない貿易のしくみを実現するために、フェアトレードのビジョンを共有するよう政治家やビジネスリーダーから一般市民、消費者にまで呼び掛けています。

フェアトレードを支援し世界的な貿易のルールを変えるよう働きかけることで、私たちは持続可能な開発の実現に参加できます。今日この日を、国際社会が3年前に約束した目標に立ち返り、あと12年をかけて共に達成する再出発点にしましょう。

国際フェアトレード憲章の原文(英語)はこちらからダウンロードできます

※日本語版は近日中に公開予定

*1) 日本フェアトレード・フォーラム『フェアトレードと倫理的消費に関する全国意識調査2015』
*2) 国連食糧農業機関『世界の食糧安全保障と栄養状態報告書2018』
*3) 世界不平等研究所『世界不平等レポート2018』