「世界フェアトレード・デーにSDGsを考えよう!」
~イベントレポート前編~
「世界フェアトレード・デー」の5月11日(土)、グローバル・ヴィレッジ/ピープルツリーは世界から児童労働をなくす活動に取り組む「認定NPO法人ACE」、サステナブルな繊維の普及活動を行う「テキスタイル・エクスチェンジ(TE)」との共催により、「世界フェアトレード・デーにSDGsを考えよう!~オーガニック&フェアトレードコットンの現場から~」を開催しました。
毎年5月の第二土曜日に世界で一斉にフェアトレードをアピールする日「世界フェアトレード・デー」は、日本で初めて全国のフェアトレード・ショップが参加した1999年からちょうど今年で20年目。
今年のイベントでは、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を共通のテーマとして、オーガニックコットンとフェアトレードに関わる様々なゲストから地球・人を想うテキスタイルをとりまくグローバルでの動きを学び、貧困や環境破壊など様々な問題の解決に向けてSDGsへの貢献とつながりを身近に考えてもらうことを目指しました。
会場となった東京・広尾の聖心グローバルプラザには参加者・出展者など総勢250名あまりが集まり、プログラムの内容も主催3団体によるそれぞれのテーマの講演と、講演者によるパネルトーク、そして休憩時間にフェアトレードやオーガニックコットン製品の買い物を楽しめるブースなど多彩なものとなりました。
イベントレポート前編では、ピープルツリーからの発表の概要と、参加者のみなさんからピープルツリーに寄せられた質問のうち、当日お答えできなかったものの回答をお伝えします。
ピープルツリー社長のミニー・ジェームズは、インドでのオーガニックコットンとフェアトレードにおけるサプライチェーンの仕組みづくりと、日本で求められるものづくりのストーリーを語りました。
18カ国、約130の団体が生産に携わるピープルツリーのものづくりについて、それぞれの生産地の伝統的な手法を大切にしていることや、それが経済的・社会的に不利な立場にある人びとに仕事をもたらし収入を得る機会をつくっていることを紹介しました。
また、フェアトレードと並んで重要な柱として、オーガニックコットンを導入した道のりについて語りました。ピープルツリーは1995年にオーガニックコットンを使ったサステナブルな商品づくりを目指し始め、ジンバブエ、インド、バングラデシュでリサーチを行いました。1997年にインドの有機農家組合とパートナーシップを結んでその翌年、初めてのオーガニックコットン製品を発売しました。2006年にオーガニックテキスタイル世界基準「GOTS」が制定されると同時に認証取得を申請し、2007年にGOTS認証を取得しました。これは、世界で初めての、原綿栽培から最終加工まですべて途上国で行われたオーガニックコットン製品のGOTS認証取得でした。現在、ピープルツリーのコットン衣料品の80%以上が、製品における含有量が95%以上のオーガニックコットン製品です。
フェアトレードとオーガニック農法は、作り手の貧困や不平等をなくし、環境を守ることでSDGsの達成に貢献します。つまりSDGsの17のゴールは、ピープルツリーが28年間ずっと目指して実行してきたことそのものだ、とミニーは語りました。
会場からはたくさんの質問が寄せられました。パネルトークの中で回答しきれなかった質問にここでお答えします。
Q. 生産者からピープルツリーまでの流通経路をおしえてください。輸出者とピープルツリーの間に事業者はいないのですか?
A. ピープルツリーは、ほとんどの生産者パートナー団体と直接取引をしており、自社で輸入を行っています。ごく一部の商品については、フェアトレードの志を共有する他団体を介して輸入しているものもあります。
Q. オーガニックコットンの農家の方々が最も喜んでいただけることは?
A. 継続的に安定した取引をすることです。種蒔きの段階から販売先が決まっていれば、農家は安心して生産することができます。なお、ピープルツリーはコットン農家と直接取引をするのでなく、最終製品をつくる生産者パートナーがオーガニックやフェアトレードの認証を受けたコットンを使用することを確認しています。
Q. 今後コラボを考えるデザイナーさんや企業はありますか?
A. 常に可能性を探っていますので、ピープルツリーとコラボしたらよいと思うデザイナーさんや企業のアイディアがあればぜひお寄せください。
Q. ヨガウェアは作りませんか?
A. これまでに何度か実現しており、2017年秋冬コレクションでは、ヨガインストラクター遠藤栄理香さんとのコラボレーションによるヨガウェアシリーズを販売しました。今後もお客さまのご要望をお聞きしながら、新たなシリーズの可能性を検討してまいります。
Q. あまり好みなデザインの洋服がありません。オーガニックコットンの洋服ももっとファッショナブルになりますか?
A. お客さまの好みはそれぞれに異なりますが、ピープルツリーではできるだけ多くのお客さまが買いやすいデザインを目指しています。もし、具体的なデザインのイメージがありましたら、ぜひご要望をお寄せください。
Q. もし作った洋服が売れ残った場合、その服はどうしますか?
A. 定番商品として継続販売をするもの以外は、販売シーズン終了後にセールやお得なキャンペーンを行うなどして、最後の1点まで販売し愛用いただけるよう努力をしています。売れ残りを理由に廃棄することはしません。
Q. ピープルツリーのようなフェアトレードを意識した企業が日本で更に増えるために何が必要だと思いますか?
A. フェアトレード商品を選んで購入するお客さまが増えることです。ぜひ、フェアトレード商品や環境に配慮した商品を積極的に購入してください。もし手に入らなければ、身近なお店やメーカーに、フェアトレード商品や環境に配慮した商品を扱うよう、声を届けてください。企業を動かすために一番有効なものは、お客さまの声なのです。
Q. 将来フェアトレードカンパニー株式会社で働かせていただけるとしたら、どのような能力が必要ですか?
A. フェアトレードの会社で働くために特別に必要とされる能力というものはなく、それぞれの仕事で専門の知識や能力を身につけ、それを会社の中で活かしてください。また、フェアトレード専門の会社以外の企業に就職して社内外にフェアトレードを広めていく方法もあります。
Q. 一からサステナブルなファッションブランドを作っていきたいと思っています。最初のステップや、何かアドバイスありますか?
A. ファッションブランドとして成功させることと、サステナブルなサプライチェーンを作ることそれぞれに、実績を持つ会社がありますが、この二つを同時に実現させる試みはピープルツリー以前にはほぼ前例がありません。まずはそれぞれの実践例について情報収集してください。そして、すべて自分だけの力で実現させるのではなく、すでに実績を持つところと手をつなぐ方法もあります。どうぞがんばってください。
レポート後編では、各講演とパネルトークの概要をお伝えします。
レポート後編はこちら
この記事は、ピープルツリーの母体NGO「グローバル・ヴィレッジ」が作成しました。
グローバル・ヴィレッジは、イベントやキャンペーンを通じて貿易や消費社会の問題点を伝え、途上国の立場の弱い人々の自立を支援 するフェアトレードの普及・促進を行うと共に、生産国の教育・環境プロジェクトの支援を通じて生産者をサポートしています。
こういった活動を安定して継続的に行うため、会員となって活動を支えてくださる方を募集しています。詳しくは、こちら。
毎年5月の第二土曜日に世界で一斉にフェアトレードをアピールする日「世界フェアトレード・デー」は、日本で初めて全国のフェアトレード・ショップが参加した1999年からちょうど今年で20年目。
今年のイベントでは、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を共通のテーマとして、オーガニックコットンとフェアトレードに関わる様々なゲストから地球・人を想うテキスタイルをとりまくグローバルでの動きを学び、貧困や環境破壊など様々な問題の解決に向けてSDGsへの貢献とつながりを身近に考えてもらうことを目指しました。
会場となった東京・広尾の聖心グローバルプラザには参加者・出展者など総勢250名あまりが集まり、プログラムの内容も主催3団体によるそれぞれのテーマの講演と、講演者によるパネルトーク、そして休憩時間にフェアトレードやオーガニックコットン製品の買い物を楽しめるブースなど多彩なものとなりました。
イベントレポート前編では、ピープルツリーからの発表の概要と、参加者のみなさんからピープルツリーに寄せられた質問のうち、当日お答えできなかったものの回答をお伝えします。
ピープルツリー社長のミニー・ジェームズは、インドでのオーガニックコットンとフェアトレードにおけるサプライチェーンの仕組みづくりと、日本で求められるものづくりのストーリーを語りました。
18カ国、約130の団体が生産に携わるピープルツリーのものづくりについて、それぞれの生産地の伝統的な手法を大切にしていることや、それが経済的・社会的に不利な立場にある人びとに仕事をもたらし収入を得る機会をつくっていることを紹介しました。
また、フェアトレードと並んで重要な柱として、オーガニックコットンを導入した道のりについて語りました。ピープルツリーは1995年にオーガニックコットンを使ったサステナブルな商品づくりを目指し始め、ジンバブエ、インド、バングラデシュでリサーチを行いました。1997年にインドの有機農家組合とパートナーシップを結んでその翌年、初めてのオーガニックコットン製品を発売しました。2006年にオーガニックテキスタイル世界基準「GOTS」が制定されると同時に認証取得を申請し、2007年にGOTS認証を取得しました。これは、世界で初めての、原綿栽培から最終加工まですべて途上国で行われたオーガニックコットン製品のGOTS認証取得でした。現在、ピープルツリーのコットン衣料品の80%以上が、製品における含有量が95%以上のオーガニックコットン製品です。
フェアトレードとオーガニック農法は、作り手の貧困や不平等をなくし、環境を守ることでSDGsの達成に貢献します。つまりSDGsの17のゴールは、ピープルツリーが28年間ずっと目指して実行してきたことそのものだ、とミニーは語りました。
会場からはたくさんの質問が寄せられました。パネルトークの中で回答しきれなかった質問にここでお答えします。
Q. 生産者からピープルツリーまでの流通経路をおしえてください。輸出者とピープルツリーの間に事業者はいないのですか?
A. ピープルツリーは、ほとんどの生産者パートナー団体と直接取引をしており、自社で輸入を行っています。ごく一部の商品については、フェアトレードの志を共有する他団体を介して輸入しているものもあります。
Q. オーガニックコットンの農家の方々が最も喜んでいただけることは?
A. 継続的に安定した取引をすることです。種蒔きの段階から販売先が決まっていれば、農家は安心して生産することができます。なお、ピープルツリーはコットン農家と直接取引をするのでなく、最終製品をつくる生産者パートナーがオーガニックやフェアトレードの認証を受けたコットンを使用することを確認しています。
Q. 今後コラボを考えるデザイナーさんや企業はありますか?
A. 常に可能性を探っていますので、ピープルツリーとコラボしたらよいと思うデザイナーさんや企業のアイディアがあればぜひお寄せください。
Q. ヨガウェアは作りませんか?
A. これまでに何度か実現しており、2017年秋冬コレクションでは、ヨガインストラクター遠藤栄理香さんとのコラボレーションによるヨガウェアシリーズを販売しました。今後もお客さまのご要望をお聞きしながら、新たなシリーズの可能性を検討してまいります。
Q. あまり好みなデザインの洋服がありません。オーガニックコットンの洋服ももっとファッショナブルになりますか?
A. お客さまの好みはそれぞれに異なりますが、ピープルツリーではできるだけ多くのお客さまが買いやすいデザインを目指しています。もし、具体的なデザインのイメージがありましたら、ぜひご要望をお寄せください。
Q. もし作った洋服が売れ残った場合、その服はどうしますか?
A. 定番商品として継続販売をするもの以外は、販売シーズン終了後にセールやお得なキャンペーンを行うなどして、最後の1点まで販売し愛用いただけるよう努力をしています。売れ残りを理由に廃棄することはしません。
Q. ピープルツリーのようなフェアトレードを意識した企業が日本で更に増えるために何が必要だと思いますか?
A. フェアトレード商品を選んで購入するお客さまが増えることです。ぜひ、フェアトレード商品や環境に配慮した商品を積極的に購入してください。もし手に入らなければ、身近なお店やメーカーに、フェアトレード商品や環境に配慮した商品を扱うよう、声を届けてください。企業を動かすために一番有効なものは、お客さまの声なのです。
Q. 将来フェアトレードカンパニー株式会社で働かせていただけるとしたら、どのような能力が必要ですか?
A. フェアトレードの会社で働くために特別に必要とされる能力というものはなく、それぞれの仕事で専門の知識や能力を身につけ、それを会社の中で活かしてください。また、フェアトレード専門の会社以外の企業に就職して社内外にフェアトレードを広めていく方法もあります。
Q. 一からサステナブルなファッションブランドを作っていきたいと思っています。最初のステップや、何かアドバイスありますか?
A. ファッションブランドとして成功させることと、サステナブルなサプライチェーンを作ることそれぞれに、実績を持つ会社がありますが、この二つを同時に実現させる試みはピープルツリー以前にはほぼ前例がありません。まずはそれぞれの実践例について情報収集してください。そして、すべて自分だけの力で実現させるのではなく、すでに実績を持つところと手をつなぐ方法もあります。どうぞがんばってください。
レポート後編では、各講演とパネルトークの概要をお伝えします。
レポート後編はこちら
この記事は、ピープルツリーの母体NGO「グローバル・ヴィレッジ」が作成しました。
グローバル・ヴィレッジは、イベントやキャンペーンを通じて貿易や消費社会の問題点を伝え、途上国の立場の弱い人々の自立を支援 するフェアトレードの普及・促進を行うと共に、生産国の教育・環境プロジェクトの支援を通じて生産者をサポートしています。
こういった活動を安定して継続的に行うため、会員となって活動を支えてくださる方を募集しています。詳しくは、こちら。