ケニア、メル・ハーブからの便り
こんにちは、ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジのムラタです。
今日は、2018年暮れにみなさまからご協力いただいた、生産者の現地プロジェクト支援の助成金について、助成先のひとつ、ケニアの「メル・ハーブ」での有機JAS研修のご報告とお便りをご紹介いたします。
アフリカの大地と自然の恵み
思えばピープルツリーがメル・ハーブの人々に出会って、はじめて日本のみなさんにジャムとハーブティーお届けしたのは1996年。以来、ケニア、メル地方の生産者とのおつきあいは24年になります。
もともと肥沃な土地に恵まれながら、干ばつと大雨による洪水の被害に悩まされてきた人々が、川の水と、メル山の麓という地の利を巧みに活かし作り上げたエコロジカルな(電力をまったく使わない!)給水システムは、430あまりの農家の耕作地に水を供給しています。
メンバー農家が導入している灌漑システム(photo by MERU HERBS)
自然との共生を大切に考えるメル・ハーブでは、当初からほぼオーガニックの耕作をしているこの地域の農家の作物を加工した商品の価値を高めるため、ヨーロッパの認証取得を目指していました。でも、オーガニックの認証にはいくつかのハードルがありました。
日々栽培の記録をとり、英語の書類を作成、提出する必要がありますが、多くの農家にとってはかなりの挑戦だったのです。
英語を理解しない生産者もいる中、まずはルールを理解し記録を作成するために必要な概念と最低限のキーワードを学ぶことから始まりました。
オーガニックへのこだわり
その後、有志農家が地道な努力を続け、2000年代には英国のソイル・アソシエーションなど複数の海外オーガニックの認証を取得しました。そしてピープルツリーとメル・ハーブは、日本でも彼らの努力の証であるオーガニック製品としてハーブティーを紹介したいと考え、有機JASの取得を目指しました。(※日本でオーガニック製品として販売するためには、有機JASの認証を取得する必要があります)
そしてその後、有機JAS認証の取得が叶いました。メルの人々が、畑と、加工場それぞれ認証取得のために続けてくれた努力に報い、日本でも有機JASマークを表示し販売できることを皆で喜び合いました。
有機JASマークが表示されたメル・ハーブのハーブティー
しかし、認証を維持するためには年次更新の審査を受けなければなりません。ルールの細かい部分について各農家や加工、出荷販売を担う人々の理解と認識にはどうしてもばらつきがあり、何度も書類の再提出を求められることもしばしば…。
この作業は農家にとって大きな負担となっていただけでなく、認証更新の遅れとなり、予定していた出荷ができず、欠品で日本のお客さまにお届けできないということも起こっていました。
この問題を解消するため、ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの生産者の現地プロジェクト支援の助成金によって、有機JAS のインストラクターをメルに招き基礎知識からあらためて学びなおす研修を実施しました。研修のおかげで今後の改善につなげられることを、ほんとうにうれしく思います。助成金にご協力いただいた皆さまに、メルの人々とともに心より感謝申し上げます!
真剣に講習を受ける受講者たち
メル・ハーブの人びと
メルの仲間たちからメッセージが届きました。
アンジェリカ・カーバラ (Angelica Kaabara) さん
私は1991年に高校卒業と同時にメルハーブに関わり、プロジェクトのコンセプト立ち上げから共に歩んできました。ハーブを栽培する農家でもあり、初めてオーガニック認証を取得した43人の一人でもあります。(!)
ジャムやハーブを加工し商品として販売し始めた頃は、設備も器材も十分ではない中で、まさに手作りで頑張ってきました。その後工場ができてからは責任者を務め、現在はメル・ハーブの新たなプロジェクト「エコ・ロッジ」を立ち上げ、マネージャーを務めています。
ハーブを栽培する農家として、メル・ハーブで働く一員として、これまでの発展を誇らしく思っています。家族の暮らしを支える収入だけでなく、奨学金で二人の子どもを学校に行かせたるなど、様々な福利サポートを受けることができます。
アンジェリカ・カーバラさん
マシュー・カジウェ (Mathew Kajiwe) さん
私は、2004年からハイビスカス、レモングラス、カモミールを栽培しています。肥料、農薬、化学薬品を一切使用せずにこれらのハーブを栽培しています。メル・ハーブがハーブティーの原料として必ず買い取ってくれることで、生活が安定しました。私には妻のマーガレットと、11歳と8歳の2人の子どもがいます。メル・ハーブから安定した収入を得て、家の近くに店を開きました。子どもたちの将来の学費などのために、副収入が得られます。これらはすべて、フェアトレードのパートナーのみなさんが、遠い日本で私たちのハーブを買ってくれるおかげです。これからもこの素晴らしい関係がずっと続くことを信じています。
マシュー・カジウェさん
エヴァンゲリン・カウィラ (Evangeline Kawira) さん
私は1995年から、メル・ハーブに原料のマンゴー果実を提供しています。それ以前は生の果実を地元の市場で売るだけだったので、豊作でたくさんの収穫があっても売り切れずダメにしてしまったり、市場への一本道が大雨で流され途方に暮れたこともありました。
メル・ハーブが継続して果物を買い取り、付加価値のついた商品に加工してくれることで、私たちは安定した収入を得て、4人の子どもたちを育て安心して暮らせるようになりました。長男、長女の二人が希望した大学に行かせることができたことをとても誇りに思い、メル・ハーブの存在に感謝しています。遠い日本で私たちのマンゴージャムを買って、食べてくれている皆さんにも感謝したいです。
エヴァンゲリン・カウィラさん
フローレンス・ンキロテ (Florence Nkirote) さん
私は学校を卒業後、2004年からメル・ハーブのプロジェクトに加わり、ジャム工場で働きはじめました。
その後、ケニア有機農業研究所(KIAF)でオーガニック農法を学び、メルの有機農家たちを支援する部門に移りました。大地に根差し自然と調和する農業を広めることに、情熱を感じています!私自身もレモングラスなどハーブを栽培する農家でもあります。先日、イタリアのフェアトレードパートナーを訪ねる機会に恵まれ、私たちの製品が売られている店の人々と会い、とても感激しました。
私には3歳の娘がいて、未来の可能性が無限にあると思うので、私にできる限りのサポートをしたい。
畑で作業するフローレンスさん(左)とイタリア訪問時の写真
メル・ハーブについての過去の記事
メル・ハーブを訪ねて(2016年4月19日)
メル・ハーブの夏(2014年7月3日)
メル・ハーブから届いたハーブティーやジャムはこちら
メル・ハーブの団体情報はこちら
今日は、2018年暮れにみなさまからご協力いただいた、生産者の現地プロジェクト支援の助成金について、助成先のひとつ、ケニアの「メル・ハーブ」での有機JAS研修のご報告とお便りをご紹介いたします。
アフリカの大地と自然の恵み
思えばピープルツリーがメル・ハーブの人々に出会って、はじめて日本のみなさんにジャムとハーブティーお届けしたのは1996年。以来、ケニア、メル地方の生産者とのおつきあいは24年になります。
もともと肥沃な土地に恵まれながら、干ばつと大雨による洪水の被害に悩まされてきた人々が、川の水と、メル山の麓という地の利を巧みに活かし作り上げたエコロジカルな(電力をまったく使わない!)給水システムは、430あまりの農家の耕作地に水を供給しています。
メンバー農家が導入している灌漑システム(photo by MERU HERBS)
自然との共生を大切に考えるメル・ハーブでは、当初からほぼオーガニックの耕作をしているこの地域の農家の作物を加工した商品の価値を高めるため、ヨーロッパの認証取得を目指していました。でも、オーガニックの認証にはいくつかのハードルがありました。
日々栽培の記録をとり、英語の書類を作成、提出する必要がありますが、多くの農家にとってはかなりの挑戦だったのです。
英語を理解しない生産者もいる中、まずはルールを理解し記録を作成するために必要な概念と最低限のキーワードを学ぶことから始まりました。
オーガニックへのこだわり
その後、有志農家が地道な努力を続け、2000年代には英国のソイル・アソシエーションなど複数の海外オーガニックの認証を取得しました。そしてピープルツリーとメル・ハーブは、日本でも彼らの努力の証であるオーガニック製品としてハーブティーを紹介したいと考え、有機JASの取得を目指しました。(※日本でオーガニック製品として販売するためには、有機JASの認証を取得する必要があります)
そしてその後、有機JAS認証の取得が叶いました。メルの人々が、畑と、加工場それぞれ認証取得のために続けてくれた努力に報い、日本でも有機JASマークを表示し販売できることを皆で喜び合いました。
有機JASマークが表示されたメル・ハーブのハーブティー
しかし、認証を維持するためには年次更新の審査を受けなければなりません。ルールの細かい部分について各農家や加工、出荷販売を担う人々の理解と認識にはどうしてもばらつきがあり、何度も書類の再提出を求められることもしばしば…。
この作業は農家にとって大きな負担となっていただけでなく、認証更新の遅れとなり、予定していた出荷ができず、欠品で日本のお客さまにお届けできないということも起こっていました。
この問題を解消するため、ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの生産者の現地プロジェクト支援の助成金によって、有機JAS のインストラクターをメルに招き基礎知識からあらためて学びなおす研修を実施しました。研修のおかげで今後の改善につなげられることを、ほんとうにうれしく思います。助成金にご協力いただいた皆さまに、メルの人々とともに心より感謝申し上げます!
真剣に講習を受ける受講者たち
メル・ハーブの人びと
メルの仲間たちからメッセージが届きました。
アンジェリカ・カーバラ (Angelica Kaabara) さん
私は1991年に高校卒業と同時にメルハーブに関わり、プロジェクトのコンセプト立ち上げから共に歩んできました。ハーブを栽培する農家でもあり、初めてオーガニック認証を取得した43人の一人でもあります。(!)
ジャムやハーブを加工し商品として販売し始めた頃は、設備も器材も十分ではない中で、まさに手作りで頑張ってきました。その後工場ができてからは責任者を務め、現在はメル・ハーブの新たなプロジェクト「エコ・ロッジ」を立ち上げ、マネージャーを務めています。
ハーブを栽培する農家として、メル・ハーブで働く一員として、これまでの発展を誇らしく思っています。家族の暮らしを支える収入だけでなく、奨学金で二人の子どもを学校に行かせたるなど、様々な福利サポートを受けることができます。
アンジェリカ・カーバラさん
マシュー・カジウェ (Mathew Kajiwe) さん
私は、2004年からハイビスカス、レモングラス、カモミールを栽培しています。肥料、農薬、化学薬品を一切使用せずにこれらのハーブを栽培しています。メル・ハーブがハーブティーの原料として必ず買い取ってくれることで、生活が安定しました。私には妻のマーガレットと、11歳と8歳の2人の子どもがいます。メル・ハーブから安定した収入を得て、家の近くに店を開きました。子どもたちの将来の学費などのために、副収入が得られます。これらはすべて、フェアトレードのパートナーのみなさんが、遠い日本で私たちのハーブを買ってくれるおかげです。これからもこの素晴らしい関係がずっと続くことを信じています。
マシュー・カジウェさん
エヴァンゲリン・カウィラ (Evangeline Kawira) さん
私は1995年から、メル・ハーブに原料のマンゴー果実を提供しています。それ以前は生の果実を地元の市場で売るだけだったので、豊作でたくさんの収穫があっても売り切れずダメにしてしまったり、市場への一本道が大雨で流され途方に暮れたこともありました。
メル・ハーブが継続して果物を買い取り、付加価値のついた商品に加工してくれることで、私たちは安定した収入を得て、4人の子どもたちを育て安心して暮らせるようになりました。長男、長女の二人が希望した大学に行かせることができたことをとても誇りに思い、メル・ハーブの存在に感謝しています。遠い日本で私たちのマンゴージャムを買って、食べてくれている皆さんにも感謝したいです。
エヴァンゲリン・カウィラさん
フローレンス・ンキロテ (Florence Nkirote) さん
私は学校を卒業後、2004年からメル・ハーブのプロジェクトに加わり、ジャム工場で働きはじめました。
その後、ケニア有機農業研究所(KIAF)でオーガニック農法を学び、メルの有機農家たちを支援する部門に移りました。大地に根差し自然と調和する農業を広めることに、情熱を感じています!私自身もレモングラスなどハーブを栽培する農家でもあります。先日、イタリアのフェアトレードパートナーを訪ねる機会に恵まれ、私たちの製品が売られている店の人々と会い、とても感激しました。
私には3歳の娘がいて、未来の可能性が無限にあると思うので、私にできる限りのサポートをしたい。
畑で作業するフローレンスさん(左)とイタリア訪問時の写真
メル・ハーブについての過去の記事
メル・ハーブを訪ねて(2016年4月19日)
メル・ハーブの夏(2014年7月3日)
メル・ハーブから届いたハーブティーやジャムはこちら
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