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記事: 6月12日は児童労働反対デー
ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさんと「3つのD」

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6月12日は児童労働反対デー
ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさんと「3つのD」

ピープルツリーのアンバサダーの鎌田安里紗です。

6月12日は児童労働反対デー。
世界では2012年現在で、1億6800万人が児童労働に従事し、世界の子どもの9人に1人が働いていると言われています。

児童労働と聞くと「良くないことだ」「なくさなければ」と感じる人も多いと思います。
けれども、自分が今朝飲んだコーヒーが、
今日着ているTシャツが、
ホッと一息つきたくて食べたチョコレートが、
今この記事を読んでいるスマートフォンが、
児童労働の結果として生まれてきたかもしれないと考えた人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

暮らしの中で食べるもの、着るもの、使うもの、現代の社会ではあらゆるものが世界中を移動しながらつくられています。
1枚のニットをつくるために南米でアルパカの毛を刈って、日本でそれを糸にして、中国でニットの形に編み上げて、また日本に持ってきて売る。
1枚のチョコレートをつくるためにアフリカでカカオを採集して、ヨーロッパで加工して、日本に持ってきて売る。
そのプロセスで誰がどんなふうに働いてモノがつくられていくのか、なかなかすべてを知ることはできません。

できるだけプロセスが透明なものを手に取るようにしていても、いまの時代ですべてを把握することはまだまだ難しい。私自身も日々迷いながら自分なりに納得できる基準を探りながら、お買いものをしています。

5月14日、2014年にノーベル平和賞を受賞されたカイラシュ・サティヤルティさんの来日シンポジウムで一緒にパネルトークをしました。
カイラシュさんは30年も前から、見えづらいプロセスのなかで強制労働や搾取に苦しむ子どもたちがいるという現実にしっかりと向き合い、自ら子どもたちを救出し、保護した子どもの社会復帰に向けた教育プログラムや施設も整備してきました。

私は洋服を切り口に、人や自然とのつながりを感じ直して、手に取るものを選んでいこうといったお話をしました。
私たち生活者ひとりひとりにはものすごいパワーがあります。
私たちが、ものがつくられるプロセスに目を向けて、人や自然や文化が傷つかない方法を求めれば、企業は変わらざるを得ません。私たちがプロセスに無関心なまま、「もっと早く」「もっと安く」を求めれば、企業はコストを削るために人や自然や文化を傷つけてしまうかもしれません。

貧困、環境破壊、人権侵害、いろいろな問題は日々耳に入ってくるけれど、どうしようもないと思っていませんか?
わたしなんかにできることは何もないと思っていませんか?

そんなことはありません。
ひとりひとりに大きなパワーがあるし、同時に、責任があります。

私たちが目を向けること、望むこと、選ぶこと、行動すること、そのひとつひとつが結果として今の世界を形づくっています。

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カイラシュさんは「3つのDを大切に」と繰り返しお話されました。

Dream(大きな夢を持つ)
Discover(自分の力を発見する)
Do(今、行動する)

生きていく中で「おかしいな」「理不尽だな」「こうだったらいいのにな」いろんなことを感じると思います。
それをそのまま置き去りにするのではなく、「豊かな自然を未来に残す」「貧困をなくす」「児童労働をなくす」という夢として掲げる。
その夢に向かって自分が働きかけることで、1人でも2人でも変わる人がいれば、それは世界が変わったということです。
そんな自分の力を信じて、“いつか”ではなく“今”行動すること。そうやって世界は変わっていくし、むしろそうしてしか世界は変わっていかないのかもしれません。

「世界は自分の手のひらの中にある。」
カイラシュさんのこの言葉に会場の多くの人がハッとしたと思います。

30年以上実際に動きつづけて、本当に世界を動かして、でもまだまだまだまだ行動しつづけているカイラシュさんは、ノーベル平和賞を受賞したという事実を聞かなくても、ものすごい人だとわかります。

直接かけてもらったことばを大切に、わたしはわたしのやり方で誠実さとあったかさを増やしていきたいな。

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