グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY最終回
~Vol.6 ファッションレボリューションを起こそう!~
2013年4月24日。バングラデシュの首都ダッカにある8階建てビル「ラナ・プラザ」で操業していた縫製工場で、労働者たちが工場内に入りたくないと工場主に訴えていました。前日、壁にヒビが入っていることが見つかり避難警告が出されていたのです。しかし工場主は、納期の迫っていた製品を仕上げなければ賃金を支払わないと労働者たち-その多くは若い女性-を脅して職場に向かわせました。そして彼女たちがミシンを動かし始めた1時間後、ビルは振動で崩れ落ちたのです。
がれきの下敷きになって1,100人以上が亡くなり2,500人以上が負傷したこの悲惨な事故について、欧米のメディアは関心を持って報じました。というのも、この工場でつくられていたのは欧米で人気のアパレルブランドの服だったのです。
崩落の直接の責任は違法な増築をしていた工場主にありましたが、そのような危険な工場に下請けを任せ納期を急がせていた発注主にも責任を問うべきという声が人権NGOなどから上がりました。アパレル企業に対し委託先の工場の安全性を確保するよう求める世界的な署名運動が起こり、100万筆の署名に後押しされて国際労働機関やNGOが中心となり、発注元の企業とバングラデシュの労働組合の間で建物の安全を守る協定を結ぶ制度が発足しました。
一方、服の買い手である消費者がもっと自分が購入する服の背景に関心を持ち、アパレルブランドに対して透明性を高めるよう声を挙げる必要があると考える人びとが連携し、行動を始めました。4月24日を「ファッションレボリューション・デー」として、ファッションについて情報を発信し変化のための行動を促すさまざまな呼び掛けを行ったのです。
ピープルツリーによる初めてのファッションレボリューションのイベントは、モデルのアンジェラさん、エシカルファッションジャパン代表の竹村伊央さんを招いたトークイベント(2014年)
雑誌「装苑」の編集長、児島幹規氏と、ピープルツリー共同創設者サフィア・ミニーの対談(2016年)
同様に行動を起こした一人が、アメリカ人のドキュメンタリー映画監督、アンドリュー・モーガンです。報道でラナ・プラザの事故を知った当時27歳のアンドリューは、事故を引き起した背景を調べてドキュメンタリーをつくりたいと考えました。クラウドファンディングで制作費を集め、二人の仲間と共にバングラデシュ、インド、ベトナムなどを訪れファッション産業の生産の現場で起きているさまざまな問題を取材して回りました。
さらに、ピープルツリー共同創設者のサフィア・ミニーがフェアトレードでファッションをエシカルな方法に変えようとしていることを知り、彼女をロンドンに訪ねました。そしてすぐにサフィアを密着取材することを決め、バングラデシュのフェアトレード生産者の訪問や東京での仕事に同行しました。
『ザ・トゥルーコスト』の撮影で日本を訪れたアンドリュー・モーガン監督(右から3番目)と制作クルー(右端、左端)。「Lee Japan」とのコラボレーション・デニムの生産のために同社取締役・細川秀和氏(中央)と共に大阪の紡績工場を訪問した際のショット(2014年)
こうしてできあがったのが、『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』です。
縫製工場の労働者たちの過酷な労働状況から、工場の排水やコットン畑の農薬散布による健康被害までファッション産業の問題点を鋭く描き出すと共に、ピープルツリーなど問題解決に取り組む活動も紹介したこの映画は、ロードショーの後も市民有志によって今も各地で放映され、ファッション産業の裏側に目を向け一人ひとりが行動を起こそうと呼び掛ける力となっています。
『ザ・トゥルーコスト』の一場面。サフィアは「これから10年の間に大きな変化がある」と予言した
『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』の日本公開に先立ち、配給会社のユナイテッドピープルと共催した試写会。ユナイテッドピープル代表の関根健次氏(右)、ファッション・フィーチャー・エディターの林路美代氏(左)と対談するグローバル・ヴィレッジ代表の胤森なお子(中央)(2015年)
ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジは、ものづくりの現場から人権侵害や環境破壊をなくそうとフェアトレードを実践、推進してきました。その原点は、すべての人や地球にとってフェアな世界をつくりたいという想い。
一人ひとりがより良い世界のために行動すればきっと、希望の未来が開けると信じ活動を続けています。
これからも一緒に、ファッションレボリューションを起こしていきましょう!
◆グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY
Vol.1 グローバル・ヴィレッジ誕生ストーリー
Vol.2 フェアトレードチョコ誕生
Vol.3 世界フェアトレード・デーの始まり
Vol.4 デザイナー・コラボレーションの始まり
Vol.5 「フェアトレード保証制度」の始まり
Vol.6 ファッションレボリューションを起こそう!<今回>
◆グローバル・ヴィレッジ/ピープルツリー30周年記念特設ページはこちら
がれきの下敷きになって1,100人以上が亡くなり2,500人以上が負傷したこの悲惨な事故について、欧米のメディアは関心を持って報じました。というのも、この工場でつくられていたのは欧米で人気のアパレルブランドの服だったのです。
崩落の直接の責任は違法な増築をしていた工場主にありましたが、そのような危険な工場に下請けを任せ納期を急がせていた発注主にも責任を問うべきという声が人権NGOなどから上がりました。アパレル企業に対し委託先の工場の安全性を確保するよう求める世界的な署名運動が起こり、100万筆の署名に後押しされて国際労働機関やNGOが中心となり、発注元の企業とバングラデシュの労働組合の間で建物の安全を守る協定を結ぶ制度が発足しました。
一方、服の買い手である消費者がもっと自分が購入する服の背景に関心を持ち、アパレルブランドに対して透明性を高めるよう声を挙げる必要があると考える人びとが連携し、行動を始めました。4月24日を「ファッションレボリューション・デー」として、ファッションについて情報を発信し変化のための行動を促すさまざまな呼び掛けを行ったのです。
ピープルツリーによる初めてのファッションレボリューションのイベントは、モデルのアンジェラさん、エシカルファッションジャパン代表の竹村伊央さんを招いたトークイベント(2014年)
雑誌「装苑」の編集長、児島幹規氏と、ピープルツリー共同創設者サフィア・ミニーの対談(2016年)
同様に行動を起こした一人が、アメリカ人のドキュメンタリー映画監督、アンドリュー・モーガンです。報道でラナ・プラザの事故を知った当時27歳のアンドリューは、事故を引き起した背景を調べてドキュメンタリーをつくりたいと考えました。クラウドファンディングで制作費を集め、二人の仲間と共にバングラデシュ、インド、ベトナムなどを訪れファッション産業の生産の現場で起きているさまざまな問題を取材して回りました。
さらに、ピープルツリー共同創設者のサフィア・ミニーがフェアトレードでファッションをエシカルな方法に変えようとしていることを知り、彼女をロンドンに訪ねました。そしてすぐにサフィアを密着取材することを決め、バングラデシュのフェアトレード生産者の訪問や東京での仕事に同行しました。
『ザ・トゥルーコスト』の撮影で日本を訪れたアンドリュー・モーガン監督(右から3番目)と制作クルー(右端、左端)。「Lee Japan」とのコラボレーション・デニムの生産のために同社取締役・細川秀和氏(中央)と共に大阪の紡績工場を訪問した際のショット(2014年)
こうしてできあがったのが、『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』です。
縫製工場の労働者たちの過酷な労働状況から、工場の排水やコットン畑の農薬散布による健康被害までファッション産業の問題点を鋭く描き出すと共に、ピープルツリーなど問題解決に取り組む活動も紹介したこの映画は、ロードショーの後も市民有志によって今も各地で放映され、ファッション産業の裏側に目を向け一人ひとりが行動を起こそうと呼び掛ける力となっています。
『ザ・トゥルーコスト』の一場面。サフィアは「これから10年の間に大きな変化がある」と予言した
『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』の日本公開に先立ち、配給会社のユナイテッドピープルと共催した試写会。ユナイテッドピープル代表の関根健次氏(右)、ファッション・フィーチャー・エディターの林路美代氏(左)と対談するグローバル・ヴィレッジ代表の胤森なお子(中央)(2015年)
ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジは、ものづくりの現場から人権侵害や環境破壊をなくそうとフェアトレードを実践、推進してきました。その原点は、すべての人や地球にとってフェアな世界をつくりたいという想い。
一人ひとりがより良い世界のために行動すればきっと、希望の未来が開けると信じ活動を続けています。
これからも一緒に、ファッションレボリューションを起こしていきましょう!
◆グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY
Vol.1 グローバル・ヴィレッジ誕生ストーリー
Vol.2 フェアトレードチョコ誕生
Vol.3 世界フェアトレード・デーの始まり
Vol.4 デザイナー・コラボレーションの始まり
Vol.5 「フェアトレード保証制度」の始まり
Vol.6 ファッションレボリューションを起こそう!<今回>
◆グローバル・ヴィレッジ/ピープルツリー30周年記念特設ページはこちら