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記事: フェアトレードの現場でインターン! まどかのバングラ日誌
~ Vol.1 自己紹介と研修プロジェクト調査報告会参加レポート~

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フェアトレードの現場でインターン! まどかのバングラ日誌
~ Vol.1 自己紹介と研修プロジェクト調査報告会参加レポート~

みなさんはじめまして

バングラデシュで活動をしている笹田まどか(ささだまどか)と申します! 現在、ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの長年のパートナーであるバングラデシュの現地NGO「タナパラ・スワローズ」(以下、スワローズ)で、インターン生として関わっています。
生産の現場から、よりリアルなお話を発信していきます! よろしくお願いいたします。

 

【まずは自己紹介から】

連載をはじめる前にご挨拶を。

私は現在大学4年生で、国際政治を専攻しています。2024年度の一年間はスワローズのインターン生として現地に滞在予定で、主にハンディクラフト部門でお仕事をさせていただきます。

実はバングラデシュでの滞在は2回目で、2年前に1年間、首都ダッカでストリートチルドレンに関する活動をする現地NGOでインターンをしていました。子ども達と接する機会が多い仕事柄、ベンガル語の習得は必須だったため、バングラデシュ渡航後から必死にベンガル語を学び、今では日常生活に不自由のないレベルまでコミュニケーションが取れるようになりました。

路上で生活をする子ども達と毎週対話をすることで課題の本質を捉えようと努めていました

 

日本での大学生活では、世界中のハンディクラフト製品を扱うショップの運営に携わり、素敵なストーリーを持つ商品を日本のお客様に届ける活動をしてきました。不定期で開催するポップアップストアやデパートでの出店を通じて、価値を感じてくださる消費者の方々へ商品を直接お届けできることが何よりも楽しみでした。

年に数回、ポップアップを開店しています

 

活動を続けていくうちに、自分がいいなと思ったものをもっと多くの方へ広めていきたいと考えるようになり、そのためには生産者側のことをさらに知るべきだと思うようになりました。

そこで、大好きなバングラデシュで、心を込めてハンディクラフト製品を生産しているNGOを探した結果、スワローズにたどり着きました。

スワローズの施設の前にはインドとの国境にもなっているパッドマ川が!

 

【インターン生活のご紹介】

インターンでは、ハンディクラフト部門のスタッフとして関わっています。主な業務は日本との繋がりの強化と新規販路の構築です。

そのために今は、女性たちに混ざってモノづくりの基礎を学んでいます!
伝統刺繍である「ノクシカタ」の刺繍方法を学んだり、手織り機に糸をセットする方法を教わったり、どうやって色付けをするのかを知ったり…。消費者の手に届くまでにどんな人が関わって、どんな苦労があるのかを自分の経験を持って体感していきます。

ノクシカタを実践的に学んでいます!

 

女性たちの仕事を見ていると、簡単な単純作業をこなしているようなのですが、実際にやってみるとミリ単位で作業されていたり、絶妙な力加減が必要だったりと、かなりの技術が必要なことが分かります。全員が熟練されたスキルを備えたエキスパートなんです! 私も練習を重ねて、自らの手で価値を生み出せるようになりたいです。

布を織る前に糸を整える作業。力加減がとても難しいです

 

一緒にお仕事をしていると、女性たちと会話をすることも多くなります。普段考えていることや、仕事に対する姿勢が伝わってきます。そんな女性たちの想いを商品に乗せて、外国の方々へ伝えていきたい。その方法を模索することも、私のインターン生活での大事な目標です。

 

【2年越しのプロジェクトの調査報告ワークショップに参加してきました!】

3月28日に、首都ダッカでNational Level Dissemination Workshop(全国レベルの普及ワークショップ)というイベントが開催されました。これは、日本のグローバル・ヴィレッジとイギリスのピープルツリー・ファウンデーションが支援して2022年から2023年にかけてバングラデシュ国内のNGOと共に実施した、女性のエンパワーメント研修の成果について発表する場です。地元の議員も招いて女性のエンパワーメントの大切さを伝え全国レベルに広めるためのイベントで、スワローズからもつくり手の女性たちを含めた約25名が参加しました。

片道6時間のバス移動というビッグイベントだったのですが、ダッカに初めて行くという女性も多く、オシャレをして特別な遠出を楽しみました!

エンパワーメント研修プロジェクトの詳細については、グローバル・ヴィレッジの過去のブログ記事をご覧ください。

研修プロジェクトの進捗について現地での報告会(2023年2月15日記事)

 

ワークショップ登壇者の発表の様子

 

プロジェクトにはバングラデシュ国内のハンディクラフトに従事する5つの団体(計画では6団体だったが、5団体で実施)が参加し、その成果を測るために今回202名を対象にアンケート調査が実施されました。働き方に関する項目のみならず、家庭内での地位に関わる設問もなされていることが特徴です。

調査結果から指摘された中で最も印象的だったことは、「ジェンダーに関する課題は、女性のみならず男性も自分事として取り組んでいかなければ解決しない」ということです。

ハンディクラフトの生産現場では、女性たちがメインで働いていますが、男性のつくり手もいらっしゃったり、マネジメントメンバーは男性であることも多いです。実際に、今回の調査対象となった方は10%が男性でした。

「男性メンバーは、これまで以上に女性に対する言動に気を配らなければいけない。差別的な言葉だけではなく、ボディランゲージでも女性が傷つく可能性がある」

上記のようなメッセージが、具体的なベンガル語での会話例と共に強調されて発表されていました。

手土産のシール型ポスター。日頃からの意識付けが大事ですね!

 

また、今回の一連の研修プロジェクトによって、つくり手の方々がジェンダー問題に関する新しい知識を身に着けることができたことも、大きな成果として指摘されていました。特に、約28%の対象者は、男女の平等の権利について新しく知ることが出来たと回答していたことは、この研修の副産物として評価されるべき事項だと思います。

このように、本研修は女性の社会的地位向上を明らかにしたという意味で大きな意義がありました。しかし、今後も課題は山積みです。

スワローズスタッフのレヘナさんは、壇上で以下のような力強いメッセージを残しています。
「今回の研修は2年間でした。しかし、2年間というのはとても短いです。ジェンダーの課題はもっと長期的なスパンで粘り強く取り組んでいかなければいけません。これで終わりではありません」

スワローズの活動場所の1つである村コミュニティでのミーティング

 

私はこのイベントに参加して、バングラデシュに希望を感じました。バングラデシュの女性たちから、ジェンダー問題についての指摘があり、パワーのこもったメッセージが次々と出てくるということはとても素敵な光景でした。バングラデシュでは男女格差の問題が確かにまだ顕在しています。しかし、ひと昔前よりは着実に理解は進み、改善されつつあるのです。

イベントの帰り道に、あるスタッフに「日本でも男女格差は深刻な社会課題として指摘されている」という話をしたら、大変驚かれました。日本、バングラデシュ、そして世界の全ての人が当たり前の権利を持って心地よく生きられるように、根気強く取り組んでいきたいものです。

 




笹田まどか(ささだ まどか)

青山学院大学4年生。国際政治を専攻
2022年3月~2023年3月 現地NGO「エクマットラ」のインターンとしてストリートチルドレン支援活動に従事
2024年3月~2025年2月予定 ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの生産者パートナー「タナパラ・スワローズ」でインターン。主にハンディクラフト部門で活動
毎日インスタグラムで日々の暮らしや仕事ぶりを投稿中

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