☆24周年リレーブログ☆ 変わりゆく生産者たちの環境と変わらないもの
24周年を迎えた11月のリレーブログ『ピープル・ツリー 今昔ものがたり』。
今となっては笑い話のような、懐かしい、かつてのエピソードをご紹介します。
早くも第3回目です。
仕入れ・生産担当のウエダです。
毎年インドやバングラデシュ、ネパールなどの生産者を訪ね続け、はや十数年。日々の仕事の中ではつい忘れてしまうけれど、はじめて彼の地を訪れた時のことを振り返ると、その大きな変化をあらためて実感します。
例えばインドのコルカタ。
かつては古くて小さかった空港も、今や近代的な立派なビルになり、たくさんの牛が草をはんでいた旧市街に向かう道はハイウェイに(建設されたばかり高架道路が崩れて落ちてしまったという痛ましい事故も起きているのですが……!) 、その両側には高層マンションがニョキニョキと立ち並び、大きなショッピングセンターで人びとが買い物を楽しんでいる、そんな光景が至る所で見られます。インドの急速な経済発展には、ただただ驚くばかり。
現在のコルカタの様子
例えばバングラデシュのダッカ。
人とリキシャであふれかえった道路は常に渋滞。2サイクルエンジンから吐き出される大量の排気ガスで、夜ともなるとライトに照らし出される街は白く霞み、一向に進まない車(もちろんエアコンなし)の中で窓も開けられず、ひたすら前を見つめて渋滞の解消を念じていたものです。劣悪なガソリンも規制されて天然ガスにかわり、電気自動車ならぬ電気リキシャも登場して、大気汚染は大幅に改善されたように感じます。
甘いチャイに飽きても、かつては薄いインスタントコーヒーにしかありつけなかったのですが、今ではエスプレッソマシーンを備えたカフェが街のあちこちに。
バングラデシュはモスリムの国でお酒を飲む習慣がないため、香り高いコーヒーは大流行。
スターバックスが進出するのも時間の問題かもしれません。
とはいえ出張中は忙しすぎて、そんなところにまったく行けないのですが…。
ピープル・ツリーの生産者パートナーも、思い出すと笑ってしまうようなことがたくさんありました。数年前は大量の指示書をロール紙のFAXで送っていたのですが、「今日はFAXがxxメートル分届きました」とか、ついには紙が切れてしまって、「買いに行かなきゃいけないから、また明日送ってください」とか。
ついこの間まで、「FAXは街まで受け取りに行くので、送ったら電話をしてください」と言っていた郊外にある生産者団体グループが、今では事務所にWIFIを整え、併設している小学校ではパソコントレーニングをしていたりします。
一方で、ものづくりの現場はというと、ひとつひとつ手仕事で生み出されるのがピープル・ツリーの商品の魅力。
糸を染め、機を織り、ミシンをかける、一目ずつ編む、チクチクと刺繍をする、木版でプリントをする。こういったところは、今も昔も変わりようがありません。
今も手仕事で行っている、糸を染料で染めて乾す作業。
今も手仕事で行っている、生地を手織る作業(左)、手編みする作業(右)。
大きく変わったのはサプライチェーンと品質への取り組み。
WFTOが掲げるフェアトレードの10の指針をもとに、さらに一歩進んだ環境への配慮やトレーサビリティを目指して、たくさんのことが実現しています。
小さな生産者グループにとって、原材料の手配は大きな課題です。
マーケットで購入したものは、どこで誰がどのようにつくったものか、たどれないケースがほとんどで、品質に問題が起きることもしばしば。
日本のように少量でも質の良く、信頼のおけるものが調達できるサービスシステムがないのが現状です。
ピープル・ツリーは小さな会社ながら、生産者グループがオーガニックコットンを入手できるように、現地の紡績工場を一緒に訪問して交渉をしたり、色落ちや問題を解決するために、染料の仕入先を調べ、専門家を招いてワークショップを行ったり、手織り生地の強度の問題を改善するために、ひとつひとつの織機をチェックして生産者とのミーティングを重ねるなど、できることを積極的に取り組んできました。
その結果、今ではたくさんのオーガニックGOTS認証の商品がお届けできるようになり、まだまだお客さまからのご期待に十分に応えられていないこともありつつも、品質も向上してきました。
生産者団体「KTS」でのワークショップ(左)、縫製トレーニング(右)
染色の際に出る排水の浄化システムを持つ生産者グループも増えました。
小さな工房にとって、こういった高額な設備はとてもハードルが高いのですが、ピープル・ツリーとの持続的なパートナーシップによって実現したと言えるでしょう。
廃水浄化システム
グレードアップした設備。ここでスクリーンプリントを行う。
1970~80年代に設立された多くの生産者グループも世代交代の時代を迎えるなか、フェアトレードのものづくりにも、よりプロフェッショナルな姿勢が求められていると痛感します。
これからも、生産者のみんなと一緒にたくさんの小さなチャレンジを積み重ねていきたいと思います。
今となっては笑い話のような、懐かしい、かつてのエピソードをご紹介します。
早くも第3回目です。
仕入れ・生産担当のウエダです。
毎年インドやバングラデシュ、ネパールなどの生産者を訪ね続け、はや十数年。日々の仕事の中ではつい忘れてしまうけれど、はじめて彼の地を訪れた時のことを振り返ると、その大きな変化をあらためて実感します。
例えばインドのコルカタ。
かつては古くて小さかった空港も、今や近代的な立派なビルになり、たくさんの牛が草をはんでいた旧市街に向かう道はハイウェイに(建設されたばかり高架道路が崩れて落ちてしまったという痛ましい事故も起きているのですが……!) 、その両側には高層マンションがニョキニョキと立ち並び、大きなショッピングセンターで人びとが買い物を楽しんでいる、そんな光景が至る所で見られます。インドの急速な経済発展には、ただただ驚くばかり。
現在のコルカタの様子
例えばバングラデシュのダッカ。
人とリキシャであふれかえった道路は常に渋滞。2サイクルエンジンから吐き出される大量の排気ガスで、夜ともなるとライトに照らし出される街は白く霞み、一向に進まない車(もちろんエアコンなし)の中で窓も開けられず、ひたすら前を見つめて渋滞の解消を念じていたものです。劣悪なガソリンも規制されて天然ガスにかわり、電気自動車ならぬ電気リキシャも登場して、大気汚染は大幅に改善されたように感じます。
甘いチャイに飽きても、かつては薄いインスタントコーヒーにしかありつけなかったのですが、今ではエスプレッソマシーンを備えたカフェが街のあちこちに。
バングラデシュはモスリムの国でお酒を飲む習慣がないため、香り高いコーヒーは大流行。
スターバックスが進出するのも時間の問題かもしれません。
とはいえ出張中は忙しすぎて、そんなところにまったく行けないのですが…。
ピープル・ツリーの生産者パートナーも、思い出すと笑ってしまうようなことがたくさんありました。数年前は大量の指示書をロール紙のFAXで送っていたのですが、「今日はFAXがxxメートル分届きました」とか、ついには紙が切れてしまって、「買いに行かなきゃいけないから、また明日送ってください」とか。
ついこの間まで、「FAXは街まで受け取りに行くので、送ったら電話をしてください」と言っていた郊外にある生産者団体グループが、今では事務所にWIFIを整え、併設している小学校ではパソコントレーニングをしていたりします。
一方で、ものづくりの現場はというと、ひとつひとつ手仕事で生み出されるのがピープル・ツリーの商品の魅力。
糸を染め、機を織り、ミシンをかける、一目ずつ編む、チクチクと刺繍をする、木版でプリントをする。こういったところは、今も昔も変わりようがありません。
今も手仕事で行っている、糸を染料で染めて乾す作業。
今も手仕事で行っている、生地を手織る作業(左)、手編みする作業(右)。
大きく変わったのはサプライチェーンと品質への取り組み。
WFTOが掲げるフェアトレードの10の指針をもとに、さらに一歩進んだ環境への配慮やトレーサビリティを目指して、たくさんのことが実現しています。
小さな生産者グループにとって、原材料の手配は大きな課題です。
マーケットで購入したものは、どこで誰がどのようにつくったものか、たどれないケースがほとんどで、品質に問題が起きることもしばしば。
日本のように少量でも質の良く、信頼のおけるものが調達できるサービスシステムがないのが現状です。
ピープル・ツリーは小さな会社ながら、生産者グループがオーガニックコットンを入手できるように、現地の紡績工場を一緒に訪問して交渉をしたり、色落ちや問題を解決するために、染料の仕入先を調べ、専門家を招いてワークショップを行ったり、手織り生地の強度の問題を改善するために、ひとつひとつの織機をチェックして生産者とのミーティングを重ねるなど、できることを積極的に取り組んできました。
その結果、今ではたくさんのオーガニックGOTS認証の商品がお届けできるようになり、まだまだお客さまからのご期待に十分に応えられていないこともありつつも、品質も向上してきました。
生産者団体「KTS」でのワークショップ(左)、縫製トレーニング(右)
染色の際に出る排水の浄化システムを持つ生産者グループも増えました。
小さな工房にとって、こういった高額な設備はとてもハードルが高いのですが、ピープル・ツリーとの持続的なパートナーシップによって実現したと言えるでしょう。
廃水浄化システム
グレードアップした設備。ここでスクリーンプリントを行う。
1970~80年代に設立された多くの生産者グループも世代交代の時代を迎えるなか、フェアトレードのものづくりにも、よりプロフェッショナルな姿勢が求められていると痛感します。
これからも、生産者のみんなと一緒にたくさんの小さなチャレンジを積み重ねていきたいと思います。
☆24周年リレーブログ☆
- 第4回 新スタッフなのに長いおつきあいな関係
- 第3回 変わりゆく生産者たちの環境と変わらないもの
- 第2回 タナパラ・スワローズのスカート
- 第1回 生産者団体「アシシ・ガーメンツ」のオーガニックコットン